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NTT、SaaS事業に参入-グループで市場を開拓


 NTTは通信回線を介してソフトウエア機能を提供するSaaS(用語参照)事業に本格参入する。NTT東西地域会社、NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ、NTTデータなど主要事業会社が得意分野を持ち寄り、“オールNTT”で市場開拓を進める。SaaSは企業が情報通信技術(ICT)を自前で構築するより低コストで利用する手段になり、高い成長性が見込まれている。NTTは3月に商用サービスを始める次世代ネットワーク(NGN)を活用した「SaaSオーバーNGN」を掲げ、企業に活用を働きかける。
 NTTは近く主要事業会社の担当者を集めた組織を設置し、具体的な事業プランづくりに着手する。同時にセールスフォース・ドットコム、マイクロソフトといった主要SaaSプロバイダーにも参画を呼びかける。4月にも具体的なサービスメニューや参画事業者を公表し、顧客獲得活動を開始する。
 構想によると、通信回線はNTT東西とドコモ、データセンターはNTTコムとNTTデータ、認証プラットフォームはNTTコムなどと各社が機能を分担し、SaaS事業のインフラ基盤を構築。企業には主要回線としてNGNを推奨する。NGNは通信速度を保証する品質制御(QoS)機能や、回線ごとに利用者を特定する回線認証機能を持つ。こうした機能を駆使し、インターネットで指摘されるセキュリティーや通信回線の不安定さを回避する。
 構築するSaaS基盤に多数のSaaSプロバイダーを呼び込み、企業が求めるソフト機能を効率的に提供することを目指す。企業への課金回収機能をNTT側が代行するなど、中小のSaaS事業者にも参画しやすい仕組みを導入する。
 日本ではSaaS市場が急速に立ち上がっており、KDDIとマイクロソフトが提携するなどさまざまな協業が生まれている。通信やシステムインテグレーションで大きな力を持つNTTの参入は、SaaS市場の拡大に弾みをつけることは間違いない。
 ただNTTはNTT東西とドコモが排他的な一体営業を禁止されているなど、巨大であるがゆえの制限も課されている。排他的との指摘を受けないオープンで公平な基盤作りをいかに進めるかが今後の課題といえそうだ。
【用語】SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)=サービスとしてのソフトウエアの意味。顧客のパソコンにアプリケーション(適用業務)ソフトが搭載されていなくとも、ネット経由で必要な機能だけを選択して利用できる。その利用分について対価を支払う。通信費用の低下など利用環境の向上で実現したサービスとされる。(2008.1.24/日刊工業新聞)

by fbitnews2006-6 | 2008-01-24 11:37 | インターネット総合  

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