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アップルとグーグルに急接近で08年はドコモの年?

 最近、NTTドコモを巡るニュースが飛び交っている。08年にも日本に上陸するとされるアップル「iPhone」の獲得交渉を中村維夫社長がアメリカに飛んで直談判してきたという話が出たかと思えば、先日は08年春以降にグーグルとの連携を強化するといった報道も飛び出した。もし、2つの話が現実のものとなれば、08年はNTTドコモからiPhoneとGPhoneの両方が発売されるということになる。果たして、その可能性はあるのだろうか。(石川温のケータイ業界事情)


■auだけでは難しいグーグルの広告ビジネス

 現在、日本においてグーグルはKDDIのauとの結びつきが強いように思える。06年5月に業務提携を発表し、同年7月からEZWebのトップ画面にグーグルの検索窓を設置。当時、KDDIのコンテンツ・メディア事業本部長だった高橋誠氏は、「ケータイでググる時代がやってくる」と語り、グーグルのケータイへの本格参入を歓迎した。

 1年が経過し、さらにauはグーグルのGmailを活用したメールサービス「au oneメール」を開始。「一生使える100年メール」(高橋誠・取締役コンシューマ事業統轄本部長)と語り、大容量を売りとするGmailのメリットをケータイと組み合わせることで、auを一生使い続けても安心という点をアピールした。





 すでに周知の通り、グーグルは何もケータイ向けに検索やメールサービスを提供するのが主目的ではなく、いずれも広告ビジネスと連携させるための布石に過ぎない。すでにケータイでグーグルの検索をすれば、キーワードに関連した広告が表示されるし、au oneメールに関しても近い将来、メールの内容に合わせた広告が表示されることになるだろう。

 いずれにしてもグーグルは、モバイルコンテンツビジネスで世界をリードする日本市場で、auと組むことでモバイルビジネスのノウハウを吸収しているようだ。しかし、日本で本格的にモバイル広告ビジネスを立ち上げ、成功を収めるには、EZWebの契約者数である2470万人だけでは媒体としての価値はあまりに小さい。グーグルとしては、もっと媒体の価値を高めたいと考えるのは当然のことだろう。



 NTTドコモ幹部は「グーグルの立場で考えれば、1社(KDDI)だけと組むのは、広告ビジネスを考えるうえであり得ない話」と語る。グーグルは4777万契約を誇るiモードと組むことによって、モバイル向け広告ビジネスで飛躍的に伸びていくことができる。NTTドコモにしても、広告収入の一部を手にすることができれば、メリットは計り知れないだろう。「広告」という目的で両社が手を組むのは自然な流れだ。

■「アンドロイド」賛同でGPhone発売なるか

 KDDIとNTTドコモは、グーグルが提唱した携帯電話のオープンな開発プラットフォーム「アンドロイド」にも賛同している。KDDIの小野寺正社長は「今年、グーグルを訪問し、シュミットCEOと面談した。さらに約3時間にわたって、モバイル関連社員に向けて講演を行った」という。KDDI社長がモバイル戦略を語ったことで、KDDIがグーグルの重要性を理解していることが伝わり、一緒にやろうという話にまとまったようだ。

 KDDIにとって、アンドロイドへの取り組みは、まさに小野寺社長のトップダウンによる決定だった。一方のNTTドコモは「可能性を感じたので賛同した。今の段階で否定する材料がないなら、手を挙げておいても損はしない」(幹部)と語る。

 果たして、アンドロイドを搭載したケータイは、すでにモバイル向けサービスで先行し、社長判断で採用を決断したKDDIか、それとも圧倒的な契約者数を誇るNTTドコモか。どちらから先に登場するのか注目に値する。


■iPhone登場の可能性



 しばらく前から、iPhoneが日本に上陸する際、アップルはNTTドコモとパートナーを組むだろうという観測記事がネットを中心に流れ始めた。これまでは、ソフトバンクモバイルのほうが優勢という見方が大半だった。実際、孫正義社長はスティーブ・ジョブズCEOとも仲がよいと言われており、iPhoneが発表された07年1月の展示会マックワールドにも孫社長が出席していた。

 また、ソフトバンクモバイルは端末とiPodをセット販売したりと、iPodの販売面にも協力してきた。このため、iPhoneはソフトバンクモバイルから発売されるというのが既定路線になりつつあった。しかし、10月頃になると「NTTドコモがアップルに猛アタックをかけている」という話がソフトバンクモバイル関係者から聞かれるようになった。NTTドコモがアップルと交渉に入ったという報道は12月に入ってからだったが、実際はすでに10月前には熱心なコンタクトをとっていた模様だ。

 NTTドコモがiPhoneを導入するにあたって懸念としてよく聞かれるのが「iモードへの対応をどうするか」という点だ。NTTドコモでiPhoneを売るには、アップルがiモードに対応しなくてはならない。それは無理ではないかという推測だ。



 確かにNTTドコモとしては、iモードに対応して欲しいというのは本音だろう。しかし、過去の経緯を見ると、「hTc Z」といったWindows Mobile端末や、「M1000」といった独自のプラットフォームでは、iモード非対応でも市場に投入している。つまり、iPhoneはiモードに対応する必要などないということだ。

 また、アップルのこれまでのiPhoneにおけるパートナーを振り返ってみると、アメリカ・AT&T(シェア1位)、イギリス・O2(シェア2位)、ドイツ・T-Mobile(シェア1位)、フランス・オレンジ(シェア1位)といったように、いずれもその国でシェア1位もしくは2位のキャリアと提携している。アップルは実にしたたかに国内で契約者数で影響力のあるパートナーを選んでいる。と、なると、俄然、NTTドコモが本命になってくるだろう。

 広告にしろ、新しいパートナーと組むにしろ、やはりNTTドコモが抱えている5300万の契約者数というのは、何物にも代え難い武器なのだ。ケータイ業界を俯瞰してみると、06年はau、07年はソフトバンクモバイルに勢いがあった。もし、NTTドコモがアップルとグーグルを味方につけることができれば、08年はNTTドコモが市場を席巻することになるかもしれない(2007.12.28/日本経済新聞)

by fbitnews2006-6 | 2007-12-28 17:23 | 周辺機器  

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