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携帯キャリアはどう動く? 総務省が2.5GHz帯認定申請を9月受付

 総務省は8月7日、2.5GHz帯の無線ブロードバンドシステムの認定申請を9月10日から10月12日まで受け付けると発表した。年内にも2つの事業者を認定する見込みで、モバイルWiMAXなどの次世代ブロードバンドサービスが開始されると見られる。ただ、有力な認定事業者と見られていた大手携帯電話キャリアは総務省の免許方針によって単独での申請ができなくなった。各キャリアはどう動くのか。

 総務省は2.545~2.625MHzの80MHzを次世代ブロードバンドシステムに割り当てる予定。このうち、2.545~2.575GHzと、2.595~2.625GHzの各30MHzを、全国展開する移動通信用に2つの事業者に割り当てる。ほかに10MHzを固定系地域バンドとして各地域での固定的なサービスに割り当てる。今回、認定申請の受付を始めるのは全国展開する移動通信用の30MHzについてだ。3つ以上の事業者から申請があった場合は電波監理審議会の答申を受けて、認定事業者を決める。

●第3世代通信事業者を締め出し

 議論となっていたのは総務省が決めた免許方針だ。総務省は第3世代通信事業者とそのグループ企業には周波数の割り当てをしないことを免許方針で決め、NTTドコモやKDDI、ソフトバンクモバイル、イーモバイルが単独で参入できないようにした。申請を行う事業者への出資比率が3分の1以下の場合は第3世代通信事業者も参加できるが、これではサービスの主導権は握れない。

 NTTドコモやKDDIなどはこの免許方針に反発した。総務省が公開した免許方針案について「既存事業者においても単独で十分に新しいビジネスモデル提案が可能と考える。従って既存事業者に対しても事業機会を損じることなく広帯域移動無線アクセスシステムの開設計画申請の機会を付与し、平等に審査されるべき」(NTTドコモ)、「事業者を差別する理由はなく、第3世代移動通信事業者からも開設計画の認定へ向けた申請を受け付けるべき」(KDDI)などの意見を寄せた。

 しかし、総務省は「開設指針案は、移動通信分野の新規参入や技術間競争を促進する観点から、開設計画の認定申請者に対する第3世代移動通信事業者の出資を3分の1に制限した」などと返答。免許方針は電波監理審議会の答申を受けて正式決定した。

●ドコモ、KDDIも共同出資探る?

 携帯キャリアはどう動くのか。2.5GHz帯の無線ブロードバンドは、モバイルWiMAXなどのサービス展開が可能で、各社とも強い関心を持っている。第3世代通信事業者以外では、アッカ・ネットワークスと次世代PHSを検討するウィルコムの申請が有望視されている。

 免許方針に対してパブリックコメントを寄せずに賛成の立場を示したソフトバンクモバイルは、イー・アクセスと共同でモバイルWiMAX事業を展開していくことで合意した。2社は共同出資の事業会社を設立し、他社にも出資を呼びかけてそれぞれの出資比率を3分の1以下に抑える考え。イー・アクセス 取締役会長 千本倖生氏は「今日の発表が、今後、3社目、4社目、5社目とアライアンスパートナーが増えていくスタートの日になれば。NTTやKDDIであっても歓迎する」としている。

 NTTドコモとKDDIも他社と組んで申請することを検討している。NTTドコモの代表取締役社長 中村維夫氏は7月27日の会見で、2.5GHz帯の無線ブロードバンドについて「NTTグループ全体で考えていく。ほかの事業者とも当然組む」と発言。KDDIの小野寺正氏は7月23日の会見で「単独参入が認められない場合についてもいろいろ考えている。ただし、現時点では発表できる段階にはない」と話した。

 総務省は新規事業者の参入を期待して第3世代通信事業者の締め出しや3分の1規制を決めたが、一方で免許方針が求める「認定から3年以内の運用開始」「認定から5年以内に人口カバー率50%」などは新規事業者では達成が困難との見方もある。新規事業者が主導権を握るにしても既存事業者との協力は欠かせないだろう。
(2007.8.8/@IT)

by fbitnews2006-6 | 2007-08-08 17:43 | 周辺機器  

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