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「WWW」の父が語るWeb世界の未来像


 W3Cは、Webに関する指針の策定を行う国際的なコンソーシアムとして1994年に発足し、400以上の組織が加盟する。日本およびアジア地域を統括するアジアホストは、1996年に慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)に設置されている。

 W3Cアジア担当副議長の斎藤信男氏(慶應義塾大学名誉教授)は、Webの歴史はWeb 2.0の誕生でひと区切りを迎えたとして、「今後はWeb 3.0や4.0と呼ばれるような次のプラットフォームを創造するリーダーとなりたい」と挨拶した。シンポジウムでは、W3Cの活動成果や産業界との関わり、将来果たすべき役割について、関係者やWeb分野の研究者らがディスカッションを行った。

 総括として行われた対談には、慶應義塾大学常任理事の村井純氏とW3C技術統括責任者ティム・バーナーズ―リー氏が登壇した。日米を代表する「WWWの父」は、インターネットやWeb世界の現状と将来への課題について語った。

 リー氏自身は現在、モバイル分野に注目しているという。「開発環境のオープン化や世界的なユーザーの拡大で今後の発展が楽しみだ。特に文字でのコミュニケーションに注目したい」と語った。

 村井氏は、「日本ではメールやチャットが発達し、欧米と比べてアジア圏は音声よりも文字でコミュニケーションを行う文化がある」という。リー氏もIMをチャットのように利用するなど、「Webやアプリケーションで、ユビキタスに文字や写真でのコミュニケーションが交わされるだろう」と述べた。

 現在のインターネット通信の利用について、村井氏によれば約80%がP2Pであり、残りの10%ずつが映像(VODなど)とTCP通信になるという。「新たな利用形態の広がりでプロトコルが多様化した。ネットワーク負荷が高まり、ユーザーはリンク先をクリックした際の反応の遅さ(遅延)を気にし始めた」と、村井氏は指摘した。

 リー氏はWeb世界でのコミュニティ拡大や個人情報の扱いなどについて触れ、「Web利用では実際の社会や人々の生活にどのように影響を与えるのかをしっかりと考える必要がある」と述べた。また、映像配信やWebアプリケーションといった利用形態の多様化に関して、「インターネットは平等なものであり、個々の利用においてどのような方法がネットワークの適切な利用につながるのかという検討を深めなければならない」と締めくくった。

(2006.11.29/ITmediaエンタープライズ)

by fbitnews2006-6 | 2006-11-29 13:12 | インターネット総合  

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