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ブログ時代の“うわさ”対応広報術

デルのノートPCが燃えている画像は、ブログなどで急速に広まり、原因についてさまざまな憶測が語られた。企業広報はマスメディアだけでなくブログもチェックし、迅速に対応しなければならない時代だ。

 ブログやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)のユーザー数が急拡大する中、企業広報の対応スピードが問われている。ネット上のうわさは内容がショッキングなほど伝わりやすく、広報担当者が気付かないうちに尾ひれが付いて急拡大することもある。ブログ時代の広報はどうあるべきか――世界3位のPR企業である米Edelmanのリチャード・エデルマンCEOに聞いた。


この記事はネット上で一気に広まった ノートPCが突然爆発――今年6月21日、デル製ノートPCが炎上している画像が、英国のITニュースサイト「The Inquirer」に掲載された。デルは事態を把握するとメディアの取材に対して「調査中」と語ったが、画像はネット上に拡散を続け、ソニー製電池が原因と判明するまで、ブロガーによるさまざまな憶測がネット上に伝わった。

 「企業広報の対応スピードは、ブログによって短縮されている。うわさには即座に対応し、企業としてコメントしないと、ブロガーが言った内容だけがネット上にどんどん流れてしまう」。裏を取ってから掲載する新聞などと異なり、一般ブロガーは憶測や意見などを交えて自由に語り合い、情報を伝えていくため、企業広報にとってはやっかいな存在だ。

 ノートPC発火事故以来、米Dellはブログのチェックやブロガーとのコミュニケーションを強化。ユーザーとコミュニケーションするためのブログも新たに開設するなど、ネットの声を積極的に取り入れようとしている。

「自分に似た人」を信頼する時代
 「世界中で“自分と同じような人”への信頼が高まっている」――エデルマンCEOは、ブログの流行を支えるこんな風潮を指摘する。同社は日米を含む23カ国で事業を展開しているが、各国で、伝統的な政府や企業とそれらが発信する情報への信頼が低下し、自分と似た立場の人からの口コミへ情報への信頼が高まっているという。


エデルマンCEO 企業の広報戦術も、この傾向を視野に入れて組み立てる必要があるという。企業からのトップダウンの情報と、知り合いなど横のつながりからくる口コミ情報が交差する領域が、PRの要になる。

 社長ブログが一例だ。大企業の社長ともなると、一般のネットユーザーからは遠い存在と思われがちだが、ブログでプライベートなできごとをつづれば親しみを持ってもらえる。エデルマンCEO自身も著名なブロガーとして様々なテーマでブログをつづっているが、「一番人気のエントリーは、自分の母親の病気に関するものだった」といい、企業メッセージよりも、人となりを感じさせる内容が好まれるという。

 ブログやSNSを使った商品のプロモーションも、企業と口コミの“交点”を狙った戦略だ。石けんやシャンプーのブランド「Dove」の米国キャンペーンでは、一般の人を下着姿でCMに登場させた上、ブログを書いてもらって親しみやすさを演出すると同時に、媒体社へのプレスツアーも展開。既存メディアも生かして多角的にPRした。米ユニリーバはSNS「MySpace」で8万人の友人会員を持つというユーザーの協力を得て、MySpace上に別サイトを作ってPRしてもらう、という戦略を採った。

 口コミメディアを使ってPRする際は、注意すべき点もある。広告であることを隠さず、透明性を保つことや、他媒体にない貴重な情報を提供すること、ユーザーからの反応には迅速に対応すること――など。消費者を尊重し、信頼を裏切らない姿勢が必要になりそうだ。
(2006.11.3/IT Media)

by fbitnews2006-6 | 2006-11-03 16:59 | インターネット総合  

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