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家庭教師でも進む「ネット化」と「アウトソーシング」

アウトソーシングの波は教育の世界にも押し寄せている。子どものためにできることは何でもしてやりたい保護者は、オンライン経由で安価なインドの家庭教師を雇っている。(ロイター)
2006年10月04日 08時34分 更新家庭教師は多くの米国の家庭にとって、高くて手が出ないぜいたく品だ。費用は1時間当たり25~100ドルかかる。だがカリフォルニア州のデニス・ロビソンさんはオンラインで1時間当たり2.50ドルの家庭教師を見つけた――インドに住む家庭教師だ。

 「それが効果てきめんで。娘は文字通りどのクラスでもトップなんです。前はこんなことなかったのに」とモデストに住むシングルマザーのロビソンさんは語る。

 彼女の13歳の長女テイラーさんは、印バンガロールに本拠を置くTutorVistaに登録している1100人の米国人の1人。同社は昨年11月に150人の「ネット家庭教師」を擁し、米国でサービスを開始した。これら家庭教師のほとんどはインドに住み、料金は1カ月100ドルで時間無制限だ。

 テイラーさんは1週間に5日、1日2時間、数学と英語の授業を受けている。費用は1時間当たり2.50ドルと、業界最大手の米Tutor.comなど北米在住の教師を使っているオンライン家庭教師サービスの1時間40ドル、あるいは対面で教える家庭教師の1時間100ドルと比べるとごくわずかだ。

 「ファーストフードの食事やStarbucksのコーヒーくらいの費用で個人授業を毎日受けていたことを皆に教えてあげたいです」とロビソンさんは話す。「うちでは夏の間中、独自の形のサマースクールをやっていたというわけです」

 アウトソーシングのトレンド――米国の銀行やその他の産業のために、教育を受けた低賃金のスタッフが24時間電話に応えるアジアのコールセンターブームに拍車をかけた――は米国文化の中核分野である「教育」にも急速に浸透している。

 折しも米国の教育システムは厳しい時期を迎えている。政府の統計によると、10代の少年のうち高校卒業者はわずか3分の2、しかもアフリカ系およびヒスパニック系ではその割合は50%に低下する。

 その一方で、中国とインドが輩出する科学・工学系学士の数は世界最大、1980年代初め以来減り続けている米国の5倍以上に上る。

 テイラーさんが利用していたようなサービスを使っている保護者らは、たとえ9000マイル(約1万4000キロ)も遠くに住んでいるインドなまりの教師でも、子どもにより良い成績、より良い大学、より良い将来を手に入れられる競争力を与えるためにできることは何でもすると話している。

なまりに苦労
 「われわれは家庭教師のパラダイムを変えた」とTutorVistaの創設者にして会長のクリシュナン・ガネシュ氏は語る。同社は6歳の子どもから大学生までを対象に、文法から地理学に至る科目を教えている。

 「米国の教育システムが良くないわけではない。テクノロジー、インターネット、インドのような低コストの職業センターを使えなければ、パーソナライズされた教育を手頃な価格で提供するのは不可能だということだ」と同氏はバンガロールから雑音の入るインターネット電話で語った。「われわれにはそれができる」

 同氏によると、同社の家庭教師の多くは担当科目の修士号を持っている。教師経験は平均で10年、それぞれが米国風アクセントでの話し方や米国のスラングの解釈などに関して60時間のトレーニングを受ける。

 また彼らは米国の歴史と州の教育課程を学び、インドの小さなコールセンターあるいは自宅で仕事をする。香港で中国語を教えている教師も1人いる。

 Growing Starsなどほかのインドのオンライン家庭教師サービスと同様、生徒はTutorVistaのWebサイトにログインして授業の割り当てを受け、VoIP技術とインスタントメッセージング(IM)ウィンドウを使って教師と通信する。教師と生徒はコンピュータ上でバーチャルホワイトボードを共有する。

 デニス・ロビソンさんは、初めはテイラーさんが教師のなまりを理解するのに苦労したと語る。「今はもう慣れて、まったく気にならなくなりました」

 TutorVistaは8月に英国でサービスを開始した。ガネシュ氏は、12月には中国にサービスを拡大し、同国で増えている中産階級からの英語の授業の需要を開拓する計画だと話す。2007年にはスペイン語の授業を始め、既に提供している中国語とフランス語の授業を強化する計画だ。

 ニューデリーの家庭教師サービスEducamp Solutionsは、米国の家庭教師市場は80億ドル規模で、拡大していると見積もっている。米国およびインドのオンライン企業は、救済措置を目的とした「U.S. No Child Left Behind Act」法の下で企業に提供される数百万ドルを手に入れようと考えている。

 教員組合はそれを止めたいと考えている。

 「家庭教師サービスは、保護者だけでなく、学校の教師とも頻繁に連絡を取らなくてはならない。われわれは、国外の家庭教師がそうするのは難しいと考えている」と米国教員連盟のディレクター、ナンシー・バン・メーター氏は語る。

 しかしブッシュ大統領が署名した「No Child Left Behind」法は、家庭教師サービス間の競争を奨励し、国外の家庭教師にも門戸を開くとワシントンの教育政策センターのダイアン・スターク・レントナー氏は言う。

 「重要なのは子どもが実際に学んでいるかどうかだ。その答えが出るまで、これがいい方向なのか悪い方向なのか判断できない」(同氏)(2006.10.4/IT Media)

by fbitnews2006-6 | 2006-10-04 10:21 | インターネット総合  

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