PS3のネット接続率が急落・普及期の証か、キラーアプリの欠如か

 日経マーケット・アクセス誌の「日経マーケット・アクセスINDEX」2007年12月調査で、家庭用ゲーム機の所有状態とそのネット利用について一般消費者に尋ね、2007年6月に実施した同様の調査と比較した。その結果、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の「プレイステーション3(PS3)」所有者のインターネット接続比率が半年間で急激に低下したことが明らかになった。

 任天堂の「Wii」もネット接続比率がやや減少したが、PS3ほどではない。対照的にマイクロソフトの「Xbox360」シリーズのユーザーは母数が少ないものの、ネット接続比率は半年間でほとんど変化しなかった。


■ネット接続比率は主要5ゲーム機で横ばいか減少

 家庭用ゲーム機メーカー3社の主力ゲーム機5機種の所有者に、インターネットに接続しているかどうかを尋ねたのが図1である。5機種ともネット接続率は横ばいか、減少傾向にある。その中で減少幅が大きかったのがPS3である。2007年6月調査では最もネット接続率が高かったが、同12月調査では据え置き型ゲーム3機種の中で最も低くなり、半数を割った。



 この理由の一つは、2006年11月の発売以来、半年間に購入したユーザーが、いわゆるイノベーター(新しいものを進んで購入する層)中心だったと考えれられる点である。他の据え置き型ゲーム機に比べて店頭価格は約2倍の5万円台と高価で、Wiiよりも先進ユーザーが多かった可能性が高い。こうしたユーザーが率先してインターネットに接続した結果、6月調査では最も高いインターネット接続率となったと推測できる。

 2007年11月、SCEは欧米の年末商戦、日本の年末年始商戦向けに低価格化を図った新型PS3を追加投入、従来型PS3も5000円値下げした。フルHDテレビの普及が国内で本格期を迎えるなど、高画質のゲーム映像を楽しめる再生環境も整ってきた。こうした中で2007年下半期の購入層がイノベーターからアーリー・アダプター(流行に敏感で、情報収集を積極的に行い、他の未購入層への影響が大きいグループ)やアーリー・マジョリティー(比較的慎重だが、平均よりは早期に新しいものを購入する層)に移りつつあり、それに伴い、インターネットに接続しないスタンドアローン利用が増えた様子がうかがえる。


 ユーザー層の面で、Wiiのネット接続率がPS3ほど低下しなかったのは、2007年6月時点で、既に購入層がアーリー・アダプター層に拡大していた点が挙げられそうだ。Wiiの2万5000円という価格は、それまでの売れ筋ゲーム機よりやや高めとはいえ、一般的な家庭で購入できない価格ではない。ゲーム出版のエンターブレインによると2007年1月~6月の国内販売台数はWiiが177.5万台、PS3が50.3万台と3倍以上の差があり、アーリー・マジョリティー層の取り込みもそれだけ早かったはずである。


■ネット・ゲーマーが支えるXbox、Wiiはネット情報検索

 利用面から見てPS3のインターネット接続率の低下を考えると、現状ではPS3にはインターネットならではの魅力あるソフトがないと言える。Xbox360を含む3機種のユーザーに、それぞれインターネットの利用用途を尋ねたところ、Wiiは、他のゲーム機にはないインターネット・ソフト「Wiiチャンネルでニュース、天気情報などを取得」の利用率が76.2%と高く、ネット利用のキラー・コンテンツとなっている。

 一方Xbox360ユーザーは「ネットワーク・ゲーム」の利用率が70.8%と、Wiiの17.3%、PS3の41.1%に比べると群を抜いて高い。同機の国内販売台数は欧米に比べて見て不振だが、同機を使ったインターネット・サービス「Xbox Live」の利用率は、日本が極めて高い水準にあると言う。この原動力となったのがナムコのベストセラー・ゲームソフト「アイドルマスター」。基本的にはスタンドアローンで動作するバーチャル・アイドル・マネジメント・シミュレーションだが、Xbox Liveで購入した仮想コンテンツを使いながら“育成”したキャラクターを、Xbox Live上の仮想オーディションで競わせるというプレイ方法が、ゲーム・マニアの熱狂を呼んだ。2008年2月にはより深くネットを利用すると見られるシリーズ・ソフトの発売が予定されている。万人受けするゲームではないが、Xbox購入者のインターネット接続率を高く維持できているキラー・アプリケーションである。


 Wiiのインターネット・チャンネルやXbox360のアイドルマスターに比べると、PS3にはこうしたインターネット利用のキラー・アプリケーションが欠けている。SCEのゲーム・ソフト子会社であるポリフォニー・デジタルは2007年12月にPSシリーズのベストセラー・ソフトの一つであるドライビング・シミュレーター「グランツーリスモ」の最新版「5プロローグ」版を発売、同ソフトにはインターネット経由で自動車関連コンテンツの情報を提供する仕組みが組み込まれた。ユーザーが積極的にネットに向かって情報発信を行うものではないが、どのように受け入れられていくのかが、今後の注目点になる。 (2008.12.28/日本経済新聞)
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by fbitnews2006-6 | 2008-01-28 23:35 | インターネット総合  

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