「ホワイト家族24で家族。そして次は“学生”を」──“ホワイト学割”に込めたソフトバンクの思惑





 ソフトバンクモバイルは、学生向け割り引き策「ホワイト学割」を2月から期間限定で実施。980円/月のホワイトプラン基本料金を3年間無料にするとともに、パケットし放題の最低料金引き下げや専用の無料コンテンツ配信サービス提供といった優遇策を施す。同社がそこまでして“学生”を取り込みたい理由は何だろうか。

 学生はソフトバンク新規加入で3年間、ホワイトプラン基本料を無料に──。ソフトバンクモバイルのホワイトプランは月額980円、1時から21時までソフトバンク携帯同士の通話無料となる「ホワイトプラン」(2007年1月開始)、ホワイトプランにプラス980円で他社携帯への通話料を半額にする「Wホワイト」(2007年3月開始)、追加料金なしで家族間の通話を24時間無料にする「ホワイト家族24」を導入し、加入件数が1000万(2007年12月22日時点)を超えるほど浸透した。

 これらに加え同社は1月22日、2008年春の新生活商戦に向けた学生向けの割引サービス「ホワイト学割」を開始すると発表した。ホワイト学割は、期間中に新規加入すると、

・ホワイトプラン基本料980円/月を3年間無料に

・“パケットし放題”サービスの料金を0円~4410円/月に(通常1029円~4410円/月)

・学生向け無料コンテンツサービスの利用

 といった特典が得られるサービスだ。機種購入時の月額分割払いなし、かつ他社やホワイトプランの時間外・適用外通話なし、パケット通信を利用しない最も安価なパターンで、S!ベーシックパックの月額315円から利用できる(なお、ホワイトプラン向けのオプションサービス「Wホワイト」はプラス980円で加入可能。通話料金や時間制限などの条件は通常契約時と同じ)。


 「一般ユーザー、そして家族。次は学生」(ソフトバンクの孫正義社長)。他社と比べ家族契約比率が低かったかつてのソフトバンクモバイルは、ホワイトプランとホワイト家族24の導入で一気に加入率を上げた。新規加入者を得る大きなチャンスとなる春の新生活商戦に向け、学生向け優遇施策を用意してさらなるユーザー増を狙う。

 対象は連続12カ月以上の就業期間を要し、かつ入学・卒業が年2回以下で固定する小学校から大学に属する、他社の学割サービス適用条件と同様の学生。年齢制限はなく、加入時の条件を満たせば適用できる(例えば大学卒業直前に加入すれば、そこから3年間は社会人になっても有効。社会人が、合致する学生の条件で大学に入学した場合も同様。3年以内に解約した場合のペナルティはない)。加入には、契約者あるいは使用者が学生であることを前提に、所定の必要書類(学生証など)を提出し、端末購入をともなう新規契約時に同時申し込みを行う(未成年者は親の同意書が必要)。店頭販売時は「学生自身の来店」が必要となる。

 “悪意ある親”による不正利用の懸念は「親が子ども用に契約する場合も“学生である子ども自身の来店と学生証などの掲示”が必要であるため、そこまでして子ども用に契約したものを取り上げる親は少ないだろう……と私は性善説を唱える(笑)」(孫社長)としている。

 「私がこの策を提案した時、社内で猛反対にあった。大幅な減収も懸念されるからだ」(孫社長)。孫社長によると、学生ユーザーはメールやコンテンツを頻繁に使用するためにARPU(契約者あたりの平均収益)が高く、端末も最新のハイエンドモデルを望む率が高いという。そんな学生ユーザーがホワイト学割を利用するとARPUはどのくらいになるか。「正直なところ、やってみないと分からない」(孫社長)とするものの、間違いなく現在より減るとみる。

 ただ、「累積学生ユーザーが少ないソフトバンクモバイルだから実施できる策。逆に累計学生ユーザーが多い他社がやるとそのまま減収に直結するだろう」(孫社長)と直近のAPRUではなくユーザー数を大きく底上げする策をとることで、弱かった学生ユーザーを一気に増やすとともに、長期的に見てトータルで効果を得たい考えだ。3年の特典期間を終えた学生ユーザーが「大人なってもそのままソフトバンク携帯を使い続ける」こと、具体的には「安価を望みそれに慣れたユーザーは、同社以上の価格、あるいは端末的なメリットがない限り他社へも移行しない」ことも想定することだろう。

 なお、ホワイト学割は恒常的な学生向け割り引きプランではなく、当面は2008年2月1日から5月31日までに受け付け期間を限定する、いわゆる「割り引きキャンペーン」のような形態で実施する。期間内に手続きを行うと上記特典が得られる仕組みだ。

 「この策でどのくらいのユーザー増があるか、どのくらい減収があるかやってみなければ正直分からない。もしかして“殺到”してしまうかもしれない。そのためにまず5月までの期間限定とし、それまでに調査・検討し、対策を練る。それをもって今後、どうするかを決めることにした」(孫社長)

●同時に、学生向け無料コンテンツサービス「コンテンツ学割クラブ」も開始

 ソフトバンクモバイルがうまいのは、この割り引き策とほぼ同時期に、すべての情報料を無料にする学生向けコンテンツポータル「コンテンツ学割クラブ」も2008年3月1日に始めることだ。

 コンテンツには、「タダが好きなソフトバンク(笑)」(孫社長)ならではの1万点以上のデコレメール(旧アレンジメール)用素材配信コーナー「タダデコ」や有名・人気コミックの1話を2100作品以上配信する「タダコミ」、携帯ゲーム1000本(1年後目標)を配信する「タダゲーム」、お笑い系のネタを配信する「タダネタ」(1年後に100本予定)、名作電子書籍を配信する「タダ本」(1年後に500本予定)、占い情報を配信する「タダ占い」、着うたデータなどを用意するほか、学生ユーザー向けクーポンやオーディション情報、アルバイト情報提供サービスなども行う予定としている。

 アルバイト情報は携帯の位置情報を利用し、例えば「現在いる位置から30分以内の場所で、すぐ働けるアルバイトは?」といった具体条件から検索できる、LocationValueの「おてつだいネットワークス」と連携して行うサービスのようだ。以上同サイトの利用は、ホワイト学割に加入した学生限定となる。

 これらサービスの情報料は無料。しかしパケット通信料は発生する。ホワイト学割利用者向けパケットし放題は、まったく使わなかった場合の最低料金が0円になる特典があるもの、1パケットでも(例えばメールを送受信する、Yahoo!ケータイのTOPページを開く、など)通信すると1万2250パケットまで従量課金となり、以後は通常ユーザーと条件が一緒になる。パケットし放題の最低料金が引き下がる実質メリットは、1万2250パケット(通常契約時の“パケットし放題”最低月額料金である1029円まで使えるパケット量)を超えないところまでと考えてよいだろう。

 「学生ユーザーは携帯コンテンツ利用率も高く、ARPUも高い傾向」を月額料金を抑えられるメリットで訴求し、情報料無料のコンテンツをたくさん用意してもらう。仮にパケットし放題のパケット通信料が上限となる4410円(5万2500パケット以上)まで使うとなれば、同社としては単純計算で3年間のみ実質月額980円の割り引きとなるほどの減収ですむ(3年間の合計3万5280円が、新規学生1ユーザーを獲得し、3年契約してもらう費用として想定する計算もできる)。

 もちろん無料コンテンツを展開する経費も別途かかるが、無料コンテンツを利用した後、別サイトで有料コンテンツを購入(例えばコミックを配信するタダコミが無料なのは1話のみとしている。2話以降は有料)することで発生する収入なども大いに想定している。

●学生=数年後の有望ユーザーを一網打尽に

 それでも、ユーザーにとってホワイトプラン分の月額料金が無料になるのは大きなメリットといえる。

 例えば小・中学生向けに親への連絡専用機種を与える場合、一定期間のランニングコストがホワイトプランの月額料金分抑えられる。他社携帯の2台目(セカンド機、家族や友人との長期通話用など)としてソフトバンク携帯を新規加入したいと考える高校・大学生ユーザーもしかりである。ソフトバンクモバイルの現学生ユーザーが2契約目として契約する場合はホワイト学割を適用できないが、解約し、まったく新規に1契約加入する場合は条件に合致する。また、4月1日に現学生ユーザー向けの何らかの策を発表・開始する予定としている。

 「ケータイ代を支払うためにバイトする……前からどうもおかしいと思っていた。家族に弱かったのをホワイトプランとホワイト家族24で一気に加入率を上げたように、ホワイト学割とコンテンツ学割クラブの開始で“学生に弱かった”を脱却し、学生累計シェア(=数年後の有望ユーザー)を上げたい」(孫社長)

 例年、新規契約者増が見込める春の新生活商戦。近日発表するとみられる2008年春モデルを含めて、同社は学生ユーザーも取り込んで、いっそうの契約者増を画策している。

(2008.1.22/+D Mobile)
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by fbitnews2006-6 | 2008-01-22 15:25 | 周辺機器  

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