携帯電話と仮想世界が変える小売りの世界


小売業界では仮想世界や携帯電話対応などのハイテク導入を促す声が上がっているが、小売業者には景気動向に対する不安がのしかかっている
 変化の速い小売業界で競争を続けたいと思うなら、米国の小売りチェーンが次に乗るべき技術の波は仮想世界、モバイルクーポン、携帯電話に搭載されるバーコードリーダーだ。

 米ニューヨークでこのほど開かれた全米小売業協会(NRF)の年次総会では、特に米国景気後退感が強まる中、小売業者が頭角を現して売り上げを伸ばすためのハイテク化を促す声が相次いだ。

 Deloitte & Touche USAのパット・コンロイ副会長は基調講演で「携帯電話は買い物のあり方を変えており、米国の小売業者もそれに備える必要がある」と語った。

 コンサルティング会社WSL Strategic Retailのウェンディ・リーブマンCEOは、卒業記念パーティー用ドレスを買いに来た客が、ドレス選びを友だちに手伝ってもらうため、携帯カメラで自分の写真を撮ってネットに投稿していると指摘した。

 インターネットは双方向性を強め、コンシューマーがSecond LifeやWebkinzなどの仮想世界で費やす時間と金額も増えている。

 Second Lifeなど仮想世界向けのコンテンツデザインを手掛けるElectric Sheepのジェネラルマネジャー、ジフ・コンスタブル氏は「こうした技術は店と買い物客とのコミュニケーションのあり方、買い物の仕方、自社のブランドの扱い方を変えようとしている」と話した。

小売業者の反応
 世界各地で既に買い物客の行動を変化させている先端技術を、米国の小売業者も取り入れる必要があるとコンロイ氏は言う。

 同氏によれば、例えば韓国ではMcDonald'sの店舗で携帯電話を使って商品を買い、注文の品が準備できたら電話で知らせてもらうことができる。

 中国ではモバイルコマースが2010年に1兆ドルに達する見通しだ。日本では携帯電話にバーコードスキャナが搭載され、コンシューマーが食品の鮮度を携帯電話でチェックできる。

 「この分野はアジアがリードしている」と同氏は話したが、米国市場でも変化は起きている。

 「販売員と技術者との境界は確実に薄らいでいる」と話すのは、家電小売りチェーンCircuit City Storesのフィリップ・スクーノバーCEO。同店では店舗とコールセンターの従業員がタブレットPCを使ってコンシューマーと一緒にWebを検索している。

 コンスタブル氏によると、企業は仮想世界(インターネット上の3次元パラレルワールド)に多額をつぎ込んでいる。こうした世界ではユーザーがキャラクターを作成して服を着せ、商品を買ったり他者と交流したりするのが一般的だ。

 昨年、Walt Disneyは子供向けの仮想世界Club Penguinを、3億5000万ドルの現金にプラスして、2008年と2009年の業績次第で最大3億5000万ドルを上乗せする契約で買収した。

 小売店の中にはこうした仮想世界に店舗を設置し始めたところもあり、ブランド拡大とそれによる売り上げ増大のために、他社も追随を検討すべきだとコンスタブル氏は言う。

価格的進展
 しかし総会の底流では米国の経済状況と、それが利益にどう響くかについての懸念がぬぐい切れなかった。

 NRFの予想では、米国の小売販売は今年3.5%増となる見通しで、これは2002年以来最も低い伸び率となる。

 つまり新技術は魅力的でも、予算的な余裕はほとんどない。

 パネルディスカッションでMichaels StoresとCircuit CityのCIO(最高情報責任者)は、技術予算のほとんどが電力料金の支払いといった日常業務に食いつぶされてしまうと説明した。

 IBMとNRF Foundationが実施した調査によれば、小売各社が2008年の技術プロジェクトの筆頭に挙げたのは、販売・在庫管理システムの入れ替えやアップグレードだった。次いでレジの入れ替えとなっている。

 今年は引き続きコスト削減が重要になるが、Bon-Ton Storesなどの小売業者はアップグレードの重要性を認識し、経済が不安定な中でも投資を行っている。

 「こうした技術の幾つかで見込める投資収益率は、当社が必要と考えるものであり、当社にとって次の1歩を踏み出すことが絶対に不可欠だ」。Bon-Tonの販売促進・マーケティング担当副社長、エドワード・キャロル氏はこう語った。
(2008.1.21/IT Media)
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by fbitnews2006-6 | 2008-01-21 20:49 | インターネット総合  

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