「セカンドライフ」に阪神大震災の追悼空間



 世界で1000万人以上が登録しているというインターネット上の仮想空間「セカンドライフ(SL)」内に、阪神大震災の犠牲者を追悼する空間が16日、オープンした。手がけたのは神戸市東灘区在住のウェブデザイナー、土井孝純さん(38)らのプロジェクトチーム。土井さん自身、阪神大震災で母を失い、翌年に父もこの世を去った。「1・17」は決して忘れられない。「神戸に来られない人にもウェブ上で追悼に訪れてほしい。そしてここを入り口に、多くの人が防災の知識に触れられるようにしたい」と土井さんは話している。

 「セカンドライフ」は3D仮想空間に自分の分身であるアバターを登録し、交流を楽しむことができる。その仮想コミュニティーの中の神戸を模した都市「ランド神戸」内の一角に土井さんらは「防災神戸」というスペースを開設。追悼の場はこの中にある。

 平成7年1月17日午前5時46分、土井さんはものすごい揺れで目が覚めた。東灘区魚崎にあった2階建ての2階の自室を出て階下に降りようとしたが、階段がつぶれていた。何が起きたのかわからなかった。1階部分が押しつぶされたのだと後になってわかった。1階で寝ていた母、二三子さん=当時(47)=はほぼ即死状態だった。

 その1年8カ月後、ストレスなどから父、安彦さん=当時(56)=も肝臓を病み、後を追うように亡くなった。もっとストレスを和らげる方法はなかったのか。後になってそう思うことも多かった。自らの被災経験から、情報の重要性を痛感し、「被災者にもっと情報を届けてほしい」という思いを強めていった。

 その後、企業などのホームページを制作する仕事を通じて災害に対する研究や技術に触れる機会を持ち、「専門家や一部の人だけでなく、多くの人に広く知ってもらえたら」と考え、今回の「防災神戸」の立ち上げとともに情報共有の場を提供することを思いついたのだという。

 「防災神戸」では、震災犠牲者の慰霊と復興への象徴として神戸市中央区の東遊園地で燃え続ける「希望の灯(あか)り」を模したモニュメントが設置された瞑想(めいそう)空間が設けられ、献花や募金、メッセージの送付でできるほか、当時の写真と現在の写真を展示するコーナーなどもある。また、訪れた人同士がチャットで会話することもできるようになっている。「被災者同士が辛い経験を語り合い、共有することで心のケアにも役立つ。将来的には仮想空間上で防災に関する講演会を開くことも考えている」という。

 「遠くにいて実際に神戸に来られない人にもウェブ上で追悼に訪れてもらえれば」と話す土井さん。震災から13年がたつが、「防災神戸」を通じて改めて普段から防災への意識を高め、少しでも多くの人々の生活を守りたいのだという。また、防災情報を集約することで、被災した人に役立つ情報を発信することもできる。仮想世界上での防災の可能性は無限に広がっている。

(2008.1.16/ 産経新聞)
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by fbitnews2006-6 | 2008-01-16 16:27 | インターネット総合  

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