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デジタルラジオ普及へ正念場 周波数、受信機の行方が“カギ”




 地上波テレビのデジタル化(地デジ)が注目される中、ラジオの世界でもデジタル化が進行中だ。現在、動画も写真も楽しめる高音質の「デジタルラジオ」の試験放送が行われている。ただ、本放送の周波数が決まっていないことなどから、受信機メーカーは二の足を踏んでいる状態。試験放送の受信機が本放送では使えなくなる恐れもあり、関係者は気をもんでいる。(文化部 草下健夫)
 「CD並みの音質、動画や写真の表示に加え、はがきやファクスに頼らずリスナーから情報を得る双方向性もある」。デジタルラジオを推進する放送局やメーカーなどで構成するデジタルラジオ推進協会(DRP)の外谷健司放送・普及広報部長はメリットを強調する。
 デジタルラジオは平成23年に地上アナログテレビが停波した後、空き地となるVHFを利用する計画。テレビとは違い、ラジオはアナログ放送も当面維持される。東京、大阪では現在空いているVHFの7チャンネルを使い、平成15年から試験放送を行っている。
 試験放送に参加しているニッポン放送(東京・有楽町)では、丸の内にスポットを当てたチャンネル「SuonoDolce(スォーノ・ドルチェ)」を放送。「地域密着で、年代を超えて愛される放送を目指す」とデジタルコンテンツ部の檜原麻希部長は意気込んでいる。
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 試験放送を聴くには、受信可能地域で、対応する受信機を使う必要がある。今のところauの携帯電話の一部と、パソコンに接続するタイプしか販売されていない。受信機の開発にメーカーの腰が重いためだという。
 こうしたなか、総務省情報通信審議会は今年6月、試験放送の周波数を、将来的には放送に割り当てないことを答申。“本番”では周波数が変わり、試験放送対応のラジオは、そのままでは本放送で使えないことになった。慌てたDRPはメーカーなどに、本放送も受信できるようソフトのアップグレードなど対応を求めている。
 一方、DRPとは異なる方法を提唱する声も。FMラジオ局「J-WAVE」(東京・六本木)の楠田修司社長は「決してDRPのやり方に反対ではない」と前置きした上で、米国から世界に普及しつつある「ハイブリッドラジオ」を提案する。

 ハイブリッド放送は、FMのアナログ放送とデジタル放送の周波数を同じにし、リスナーの受信機次第でどちらでも自在に聴くことができる方法という。米国では日本のメーカーがハイブリッド放送のデジタルラジオを販売しており、「そのまま国内で売ればよい」と楠田社長はメリットを説く。
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 「動画もあり、テレビとの境目が曖昧(あいまい)」(DRP)なデジタルラジオ。放送局の負担も大きく、ニッポン放送の檜原部長は「手間暇がかかるため、作り方を考えないと放送局はパンクする。ラジオは音楽やトークが重要で、動画はアクセントで時々見てもらう程度になるのでは」との見方を示す。
 デジタルラジオ本放送を含め、VHFの周波数の割り当てが固まるのは、来年5月ごろの見通し。デジタルラジオが足踏みしている間に、インターネットでダウンロードして聴く「ポッドキャスティング」などが普及しつつある。これからが正念場といえそうだ
(2007.12.18/産経新聞)

by fbitnews2006-6 | 2007-12-19 09:50 | インターネット総合  

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