富士通、運転者の心拍のゆらぎ解析し“眠気”検知する研究を本格化
富士通は自動車安全技術として走行中のドライバーの心拍のゆらぎを解析し、眠気を検知する研究を本格化する。眠りに入る際の心拍のゆらぎに特定のパターンがあることに着目。「覚醒度」と「興奮度」の二つの評価軸を用いて心拍のゆらぎパターンを数値化し、従来難しかった浅い眠りの検知や個人差の吸収が可能なことを突き止めた。今後、実証データを増やして検知精度を高め、2―3年後に実用化のめどをつける。
グループの富士通研究所(川崎市中原区)が取り組む生体情報の研究成果を自動車の安全技術に応用し、睡魔をいち早く検知して交通事故の未然防止に貢献するのが狙い。長距離トラックなど業務向けの需要が期待される。
一般に眠気検知技術ではまぶたの動きに焦点を当てるのが主流。すでに自動車メーカーなどが実用化に向けた研究を本格化している。富士通はこうした実験に協力する一方で、眠気と心拍との関係性にも着目。まぶたと心拍の検知技術を組み合わせ、協調させることで眠気の検知精度をさらに高める考え。
富士通研究所が持つデータマイニング(探索)や画像処理技術などを用いて、心拍のゆらぎパターンから眠りに向かう微妙なタイミングを検知することで、「眠気方向への動きを食い止めることができる」(青木隆経営執行役員)としている。
課題は実証データの採取。そもそも眠ろうとする状態の被験者を選び出すことが困難なのが実情。これまで100人を対象にシミュレーターで実験し、10数人の分析が完了。今後さらに実験を積み重ね、実車による評価も行う計画。
実用化に向けたもう一つのハードルは心拍を検出するセンサー技術。走行中の自動車は常に振動しているため、精緻なデータを採るのが難しい。ハンドルや座席にセンサーを埋め込むなど、ドライバーが意識しない状態で心拍の波形を検知することも求められる。
(2007.10.25/日刊工業新聞)
by fbitnews2006-6 | 2007-10-25 11:54 | 周辺機器