閉じられた首相HP・サイト閉鎖それぞれの事情





 福田康夫首相の個人ホームページが9月下旬から閉鎖されているようだ。政治家が情報発信の場を閉鎖したのだからよほどの問題が起きたに違いない。そう思うのが普通である。(ネット危険地帯 宮島理)

 しかし、閉鎖の理由が「なりすましメール」だと聞いて拍子抜けしてしまった。福田首相が送信者であると騙ったメールが出回り、そこに不審なファイルが添付されていたため、用心してホームページを閉鎖したのだという。

 不審メールと言っても、見ず知らずの第三者のサーバーから勝手に送信されているだけであり、福田首相の事務所管理下にあるサーバーが狙われたわけではないだろう。一応、名前を騙られた当人として、ホームページで注意を呼びかければいいだけの話だ。閉鎖後しばらくは通常のコンテンツをすべて消して注意文のみを掲載していたが、その後は完全に閉鎖してしまいアクセスできないようになっている(10月16日時点でもアクセス不可のまま)。

 福田首相の対応は極端に慎重なケースだが、これまでにもさまざまなホームページが閉鎖されてきた。そこにはいろんな事情がある。

 最近目立つのが、いわゆる「ブログ炎上」や「掲示板炎上」によるホームページ閉鎖だ。ブログのコメント欄や掲示板が「炎上」して対応に窮した運営者が、ホームページを閉鎖してしまうケースが後を絶たない。

 サーバーへの攻撃に対処したケースもある。こちらは実害があるだけに深刻だ。

 2005年5月には、静岡新聞社が運営する学生向けの就職支援サイトが侵入を受けた。サイトの閲覧者がウイルスに感染するように、ホームページの内容が改ざんされてしまったのである。静岡新聞社はこのサイトをただちに閉鎖している。

 同時期に価格比較サイト運営のカカクコムも侵入を受けてサイトを改ざんされ、閲覧者に向けてウイルスがばらまかれる状態にされてしまった。サイトを閉鎖すると、カカクコムの事業自体がストップしてしまい、大きな痛手となる。しかし、サイトを公開しながらの作業では攻撃を防ぎきれなかったため閉鎖を決断。2週間弱でホームページは再開できたが、多額の損失を出している。

 攻撃を受けてからの事後処理ではなく、予想される攻撃に備えて、予防的にホームページを閉鎖するケースもある。やや時期をさかのぼるが2000年には、日本とアメリカで予防的なホームページ閉鎖が実行された。アメリカでは環境保護局がホームページを閉鎖して、その間にセキュリティーを強化している。日本では科学技術庁が大型放射光施設「SPring-8」のホームページを閉鎖させている。当時、公的機関のホームページに対して、攻撃が相次いでいた。

 福田首相のように慎重すぎる対応は、情報発信という観点から問題があると思うが、ホームページの存続が次なる危機につながりかねない状況であれば、すみやかに閉鎖して対処するのが得策だろう。個人情報流出やウイルス感染、ホームページ改ざんなどはいずれもあなどれない深刻な問題である。(2007.10.17/日本経済新聞)
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by fbitnews2006-6 | 2007-10-17 11:07 | インターネット総合  

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