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インターネットの「広告過依存」、業界幹部が懸念


今や多くのサイトが広告収入で運営費をまかなうビジネスモデルに依存しているが、「十分に行き渡るほどの広告収入があるのか」と懸念する声もある

 企業各社は今年、310億ドルを投じて、歯磨き粉から住宅ローンに至るまであらゆるものをインターネットで宣伝し、それが多数のニュースサイト、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)、動画共有サイト、ブログを支えるだろう。

 だが一部のメディア業界ベテランは、オンライン広告への期待が過大になりつつあると懸念している。

 彼らは、あまりに多くのメディアが唯一の収入源として広告に依存するようになっていると指摘する。ソフトメーカーやCATVなども新たにこの流れに乗ろうとしており、広告費が十分に行き渡らない可能性がある。

 「あらゆる事業開発の答えが『広告収入でまかなう』になっているように感じられる段階に来つつある」とNBC Universalの統合メディア担当社長ベス・コムストック氏は語る。同社は今年、メディア企業やデジタル企業に投資するファンドを設立した。

 「それは不可能だろう」と同氏は最近の広告関連カンファレンスで語った。「市場に十分な広告費が回らないだろう。われわれがどれだけ賢明にやっても、どんな形でもだ」

 NBC Universalのテレビネットワーク、CATVチャンネル、Webサイトは、ニッチなブログからTime Warner、Walt Disneyなど同業の大手メディアまであらゆる媒体と広告収入を奪い合っている。その上Googleなど急速に成長するインターネット企業も広告予算をつかんでいる。

 だが市場には新たなライバルが参入してきている。大手CATV会社Comcastは向こう5~6年にかけて少なくとも10億ドルのオンライン広告収入を見込んでいる。

 通信会社のVerizon CommunicationsとAT&Tは、自社のビデオサービスや携帯電話サービスでの広告の機会に目を向けており、SNSのFacebookなどの新興企業はWebマーケティングの新たなフロンティアと考えられている。

 MicrosoftもWebマーケティング企業aQuantiveの買収で、広告ビジネスに大胆に乗り出してきた。

テレビやラジオからネットへ
 最近までは、オンライン広告費を獲得しようとする企業が多すぎるかどうかよりも、どのくらいのお金がオンライン広告に移っているかが注目されていた。

 向こう数年で、広告予算のかなりの部分がテレビやラジオ、印刷物などからインターネットにシフトすることはほとんど疑いない。ZenithOptimediaは、世界のオンライン広告は2007年に28%増加するが、ほかの分野の広告の伸び率は3.7%と予測している。

 同社の予測では、オンライン広告は来年21%伸び、2009年には13%伸びて430億ドルに達する見通しだ。

 その時点で、Web広告は4950億ドルの世界広告市場の約10%を占めることになる。だがそれでも新聞、雑誌、テレビへの広告支出よりも少ない。

 「まだ動かせるお金が数十億ドルある」と総合広告代理店Colangeloのチーフデジタルディレクター、クレイグ・ランバーと氏は言う。

 「ネットには企業を十分支えられるだけのお金が流れ込んでいるのだろうか? わたしならそう思う。その理由は単に、テレビや印刷物に費やされてきた広告費がたくさんあるからだ」(同氏)

お金はほとんど上位サイトに
 十分に行き渡るだけの広告費があるはずだというスタンスの業界関係者もいる。

 デジタル・ダイレクトマーケティング会社Euro RSCG 4Dのジェフ・ブルックスCEOは、人々がデジタルメディアを利用する時間と、デジタルメディアに集まる広告費の間には「大きなギャップ」があると考える。

 「オンライン広告支出は、四半期ごとの伸びは大きいが、まだ広告支出全体に占める割合は不釣り合いなほど小さい」(同氏)

 一部の関係者は、インターネットに流れ込んでいる広告費の多くが、十数の人気サイトに集中しているという落とし穴があると指摘する。このため、それほど知名度の高くない、比較的小さなサイトは、広告収入で生き延びる上で著しく不利になる。

 Interactive Advertising BureauとPricewaterhouseCoopersによると、米国では2007年前半に、上位50サイトがオンライン広告売り上げの90%以上を占めていた。上位10サイトがオンライン広告売り上げに占める割合は70%に上る。

 その間もWebサイトの数は増え続け、ビデオゲームや映画、テレビ、携帯音楽などほかのメディアエンターテインメントも選択できるユーザーを――そして広告主を――奪い合っている。

 「『作れば来てもらえる』だった昔とは違う」と広告代理店Arnold Worldwideのチーフデジタルオフィサー、ジョナサン・サケット氏は語る。「今は、作ってもたぶん来てくれない」

 Webサイトにとって1つの代替選択肢となるのは、広告収入ではなく会費に頼ることだろう。だがそのモデルで成功している既存サイトはほとんどない。

 その理由は、きわめて素晴らしいコンテンツを提供しない限り、利用者はお金を払ってくれないからだとマーケティング会社RMG Connectのマーク・ミラー社長は言う。

 「(著名投資家の)ウォーレン・バフェット氏がオンラインで独自の会員制ニュースレターを発信したいと思ったら、購読する人はたくさんいるはずだ」(同氏)
(2007.10.16/ロイター)

by fbitnews2006-6 | 2007-10-16 16:23 | インターネット総合  

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