mozilla、ネットの未来を占う24時間イベント、日本の父、村井教授も登場




 Mozilla Japan(瀧田佐登子代表理事)は9月15日、ブラウザの技術を軸にインターネットの未来を模索する24時間イベント「mozilla 24」を開いた。「人類がみんなで力を合わせる」(村井純慶應義塾大学教授)環境を提供するというインターネットの使命を表現するため、時差を超えたグローバルなイベントとして24時間連続で行っているもの。



 企画したのはMozillaの日本法人、Mozilla Japan。ブラウザに関するパネルディスカッションや、キャラクター「フォクすけ」をあしらったTシャツ作りのワークショップ、ロックイベントなど盛りだくさん。会場は、日本では慶応大学三田キャンパスや京都大学、渋谷の「SHIBUYA BOXX/SHIBUYA@FUTURE」など4会場。さらに、米スタンフォード大学を始め、ハワイ、マレーシア、タイ、フランスと接続してワールドワイドで展開する。各イベントに日本会場だけでも延べ1000人以上が参加者する見込みだ。

●「誰でも新しいものを創造できるようにする」のがネットの使命、村井教授

 Mozilla(モジラ)とは、オープンソースのブラウザ開発プロジェクト「Mozilla.org」で開発しているWebブラウザの総称。98年にNetscape Communications社が同社のブラウザ「Netscape Communicator 4.0」(Netscape)のソースコードを公開。同時にオープンソース開発プロジェクト「Mozilla.org」を立ち上げた。これをきっかけに世界中からボランティアの開発者が集まって、プログラムを改良・配布しながら新しいブラウザの開発が進められた。「Firefox」はこのプロジェクトから生まれた、代表的なブラウザの1つだ。


 慶応大学三田キャンパスで開会の挨拶をした実行委員長の瀧田代表理事は冒頭で、ブラウザとインターネットの歴史を振り返りながら「オープンソースはものづくりの原点」と話し「いよいよmozilla 24、スタートしてしまいました」と宣言、24時間イベントの幕を開けた。

 オープニングセレモニーで、イベントの実行委員会メンバーでもあるグーグルの及川卓也シニアプロダクトマネージャは「googleのサービスのベースになっているのはオープンソースのプログラム」として、オープンソースのコミュニティーと一緒になって「世界を変えていきたい」と語った。

 また瀧田代表理事に「日本のインターネットの父」として紹介され、同じく実行委員で慶應義塾大学環境情報学部の村井純教授が登場。「現在、アジアでケーブルの回線が一時的に落ちているようで(イベントが実施できるかどうか)真っ青になったが、衛星のバックアップ回線に自動的に切り替わっている」と明かし、「何が起こってもきちんとつながるのがインターネット」と、改めてインターネットのメリットを語った。

 さらに、インターネットには2つ重要な使命があると続けた。「1つは、新しいものを創り出すことを助けること」として「誰でも新しいものを創造できるようにするWebの環境」が重要だと語った。また、「はじめから国境という概念がなく、地球全体を取り巻く1つの空間を人類がはじめて手にしたのがインターネット」として、もう1つの使命は「人類がみな力を合わせる」環境を提供することだと結んだ。

●消費者から参加者へ……使うだけでも貢献できる

 「インターネットの未来をマジメに考える!」のサブタイトルで5つのプログラムを実施する慶応大学三田キャンパスでは、「IT先駆者 vs 学生 イケてる?! オープンソース」と題したパネルディスカッションでイベントの口火を切った。

 なぜオープンソースの技術者がプログラムを開発するか、という学生パネラーの質問に答えて時事通信社の湯川鶴章編集委員は「1社が全てを支配するような状態が不健全だと感じて共同体で別のものをつくる」という反発や「表現したい」という欲求、さらに「他の人々とつながりたい」という欲求によるものではないかと話した。

 慶應義塾大学大学院政策メディア研究科の大川恵子教授は、「あるエンジニアの部屋の前に標準化と面白さが相反する状態を示したグラフが張ってあった」という例を引きながら、「ソフトウェア技術者は好きなことをやりたいのに、標準化は創造性の妨げになることがある」と語った。しかしオープンソースのコミュニティーに乗せることでソフトウェアが改良されていくことも同時に示しながら「コミュニティーの中で共通のプラットフォームやルールのようなものは必要」と語った。

 クリエイティブ・コモンズの会長も務めるMozilla Japanの伊藤穰一理事は、「マサチューセッツ州では、50年先に読めるデータを使えるソフトしか使わない」という例を挙げ、これを実現するには「オープンソースしかありえない」として、広く受け継がれていく特性をもつオープンソースプログラムの可能性を示した。さらに、「長く生き延びるIT企業はあまりない。結局一番生き延びているのはオープンのUNIX」(大川教授)だと指摘、オープンであることの強さを語った。

 パネルディスカッションにはタイの学生もネットワーク経由で参加。オープンソースプログラムの「ドキュメントの不備」についての質問に、伊藤理事も、「これから解決すべき重要な問題。教育で解決していく必要がある」と話した。大川教授は「ドキュメンテーションが得意な人をコミュニティーに巻き込んでいくことが重要」と指摘した。

 来場者から出た「ウィキペディアのように多くの人が参加するプラットフォームは、どうすればできるのか」という質問に答えて、伊藤理事は「インターネット上のどんなサービスも、ユーザーが増えなければ失敗する」とした上で、「しかしただ単にサイトがよければいいという問題ではない。例えばYouTubeは、マイページに(動画を)簡単に組み込めたから成功した」と説明。「ある程度人が集まれば何とかなるし、今度はその人たちが逆に守ってくれる」とネットサービスの成功の秘訣についても語った。

 最後に「使うだけでもそれは(オープンソースコミュニティーに)貢献していることになる」(大川教授)、「20世紀は、本来参加したがる人たちを消費者にしたたてしまった時代。それは本来姿ではない。われわれは参加者に戻らなくてはいけない」(伊藤理事)などとまとめ、パネルディスカッションを締めくくった。

●大いに盛り上がった渋谷「Firefox ROCK FESTIVAL '07」

 一方、渋音楽イベントを開いたSHIBUYA BOXX/SHIBUYA@FUTUREでは全13アーティストが出演し、大いに盛り上がった。ライブハウスのFirefox Stage SHIBUYA BOXXでは、前売りチケットは売り切れの人気。ウルトラエモーショナルパーティーロックバンド「SLUGGER」を皮切りに6グループがステージに登場した。

 また隣のFirefox Cafe SHIBUYA@FUTUREではヴァイオリニスト吉田直矢率いるAPO(Accoustic Passihon Orchestra)でライブスタート。なんと一曲目は、タンゴの鬼才ピアソラの「リベルタンゴ」。こちらは入場無料ということもあり、多くの観客が「クラシック界のジミヘン」吉田直矢さん率いる小さなオーケストラの情熱的なライブを楽しんだ。

 もう1つの日本会場、ベルサール九段では、夕方まではTシャツ制作などの体験イベントを実施。それに続き、テクニカルトークや、パネルディスカッションで多くの参加者を集めた。九段会場ではこのほか、「24時間 Touch UP マラソン」も実施。Firefoxできれいに表示できないウェブサイトを見つけ出し、修正スクリプトをその場でどんどん書いていこうという試みだ。ボランティアで参加している三菱総研の飯尾淳主任研究員は「24時間で100以上は直したい」と意気込みを語った。

 mozilla 24は、9月16日の正午まで。最後のプログラムは、慶応大学の三田キャンパスで「地球コンピュータ」と題し、10時から開くパネルディスカッション。無料で誰でも参加できる。子どもの視点から未来を予測し大人たちに提言する「キッズデジタルサミット」のほか、次の25年、50年先を見据えた議論を展開する。なお、イベントの模様はmozilla 24のウェブサイトでも一部動画で配信している。
(2007.9.16/BCN)
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by fbitnews2006-6 | 2007-09-16 09:41 | インターネット総合  

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