冷却ファンに“植毛”、静音に新アプローチ



 従来は流線型にするなど形状を工夫することで風切り音を抑えてきたが、柔毛材の植毛や表面の柔らかさの制御することで「空力発生音」を低減する――。9月12日に東京・大手町の東京国際フォーラムで始まった「イノベーション・ジャパン2007―大学見本市」の会場で、そう説明するのは鳥取大学工学部機械工学科教授の西村正治博士だ。クルマ、高速車両、航空機、送風機など、風切り音を発生させるものなら、何でも静音化の対象だ。

 風切り音は高速に動く物体に空気が当たるときにできる圧力変動によって発生する。例えば円柱に対して真横から空気を流した場合、円柱に空気が当たる“上流”部分で流れは二手に分かれ、円柱の反対側の“後流”部分で2本の空気の流れが合流する。このとき、空気の流れが物体から剥離し、後流に強い渦ができる。

 西村教授は基礎研究で、円柱に柔毛をぐるりと巻き付けることで、広い周波数の騒音を5~8dB低減できることを突き止めた。柔毛の長さは1~3mmでも十分な効果があり、金鋼や多孔材でも同様の効果が得られることが分かったという。西村教授は、この原理をデスクトップPCやサーバでも使われる冷却ファンに適用し、5dB程度騒音が低減されるのを確認した。通常の冷却ファンと柔毛材が貼り付けられたものとでは、騒々しい会場で聞いてもすぐに分かるほど大きな違いがある。

 表面に植毛した場合、空力性能に悪影響を及ぼし、肝心のファンの性能が落ちる。このため西村教授は、消音と空力性能がバランスする植毛位置の探索について研究しているという。

音を“囲う”から“逃がす”へ

 西村教授は植毛による消音のほか、音を“逃がす”研究も手がけている。「これまで臭いものに蓋をしろという発想で、騒音対策といえば音を封じ込めることだった。しかし、無害な方向に音を逃がすことで騒音は低減できる」という。

 ターゲットとなるのはダクトなどの開口部で発生する騒音だ。冷却などの理由で排気するダクトからは冷却ファンなどの騒音が放出されるばかりでなく、開口端反射と呼ばれる現象で共鳴音が発生し、大きな騒音となる。

 こうした問題に対して西村教授のアプローチは、対象となるPCや家電の筐体内部に向かって音を逃がし、音のエネルギーを筐体内部で吸収してしまうというものだ。多孔板、布、フィルムで構成される「音響透過壁」は空気を通さず音だけを通す。この音響透過壁をうまく用いることで、排気ダクト付近の音が外部に放出されるのを防ぎ、5dB程度、騒音を低減できたという。

(2007.9.12/@IT)
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by fbitnews2006-6 | 2007-09-13 03:36 | PC  

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