「学校裏サイト」と子供たちが抱えるネット上の人間関係






 「学校裏サイト」とは、学校が管理していないが、学校の在校生や卒業生などが利用する目的で運営されているサイトである。掲示板の形式で設置され、利用されることが多い。単なる情報交換に使われていれば問題はないが、誹謗中傷の書き込みがなされたり、他の生徒の画像を勝手に貼り付けたりと、「ネットいじめ」に発展するケースもある。(ネット危険地帯 宮島理)

 この「学校裏サイト」を舞台に事件も起きている。8月22日には「学校裏サイト」に校長先生を「殺す」と書き込んだ大阪府の高校1年生の男子が、脅迫容疑で逮捕された。

 基本的には、子供同士の口コミでサイトが共有されていくため、学校も親もその実態を完全には把握しきれていないようだ。そんな「学校裏サイト」のいくつかを実際に覗いてみた。

 ある中学校の「裏サイト」では、在校生が運営を代々受け継いでいる。個人が一方的に大量の書き込みをするようないわゆる「荒らし」行為については禁止しているようだが、実名を挙げて「バカばっか」「ボコりてえ」「ウザイ」「カッコつけ野郎」と書いたり、誰が誰を好きということまで実名で書いたりしてある。

 別の学校の「掲示板」では、「中傷発言」は禁止となっているが、「グチ」はOKとルールが決められている。しかし、そこには「●●死ね」といった話題も書き込まれており、ルールが守られているのか首をかしげるような内容があった。

 ここで取り上げた「学校裏サイト」は、略称などで学校名をわかりにくくしており、なかなか表に出にくいタイプのものだ。しかし一方で、学校名がちゃんとついていて、検索エンジンなどで調べればすぐ見つかる「オープン」なものもある(「学校名」+「ちゃんねる」という表記が多い)。

 「オープン」なサイトを利用している人からすれば、「勝手に『学校裏サイト』なんていかがわしい名前をつけるな」という批判もある。確かに、学校非公認のサイトをすべて「裏サイト」とするのはよくないだろう。比較的「オープン」なサイトは「学校勝手サイト」とでも呼び、表に出にくいサイトのみ「学校裏サイト」として注意を喚起するべきではないか。

 そのうえで、悪質に個人情報を公開しているようであればプロバイダーに削除要請をしたり、「ネットいじめ」から事件に発展するようなことがあれば警察に通報したりする、といった対応をとるほうが望ましい。

 ここでちょっと大人のみなさんに考えてもらいたい。自分が今の子供だったら、どうするだろうか。携帯電話やパソコンがあって、友だちから「学校裏サイト」を教えられたとする。真っ先にアクセスして、時には、ついつい「グチ」を書き込んでしまうのではないだろうか。

 大人同士の実名の付き合いであっても、メーリングリストなどで、ついつい言い争いになったり、一方的な誹謗中傷になることはある。子供が同じようにコントロールが効かなくなってもおかしくない。リアル世界だけでなく、ネット上での人間関係という問題も今の子供は抱えている。

 子供のネット利用ばかりが問題視されるが、指導する立場の教師によるネットでの問題行動も明らかになっている。ブログ上で実名を挙げて生徒の悪口などを書き込んでいたとして、8月31日に都立高勤務の教諭が減給処分となった。

 結局の問題は、ネットにおけるコミュニケーションとその前提となるリアル世界における人間関係をうまく構築できるかということだろう。リアルの世界においても、休み時間や放課後など、学校や親の目が行き届かない場所はある。学校非公認サイトをなんでもかんでも「学校裏サイト」と呼ぶなら、コンビニや体育館裏のことを「学校裏社会」とでも呼ぶべきなのだろうか? すべてを悪と決め付け、規制しようという動きがあるとすれば少々疑問を持たざるを得ない。
(2007.9.5/日本経済新聞)
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by fbitnews2006-6 | 2007-09-05 09:39 | インターネット総合  

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