仮想現実で「体外離脱」を体験


自分の肉体を離れて空間の別の場所にいる感覚を起こさせる実験が成功した

 仮想現実ゴーグルを使って体外離脱を体験させる方法が、科学雑誌に発表された。約10人に1人の割合で報告されている体外離脱現象について解明する一助になりそうだ。

 目を覚ましているときに数メートル離れた距離から自分自身を見ている幻想は、発作を起こしたり薬物利用によるてんかん性発作で報告されることがある。

 Science誌の8月23日号に発表された研究では、2つの研究チームが、ゴーグルの助けを借りて視覚と触覚にスクランブルをかけ、健康な人にこの現象を起こさせることに成功した。

 スイスのローザンヌ工科大学の研究者、オラフ・ブランケ氏はこの幻覚について、「健康な被験者が、あたかも仮想身体が自分のものであり、その『自分自身』が自分の肉体の境界を離れて空間の別の場所にいるという経験をした」と説明している。

 一方、ロンドン大学ユニバーシティーカレッジのヘンリック・エールソン氏のチームが行った実験では、被験者に仮想現実ゴーグルを着けて部屋の中央に座ってもらい、本人たちの背後に置いたビデオカメラの映像をゴーグルに映し出した。

 研究者がカメラの方に向けて棒を動かすと同時に被験者の胸に触れ、次いで棒を視界から消した。

 これにより、被験者が数歩後ろのカメラがある場所に座っているような幻覚が作り出された。

 ブランケ氏の実験では、仮想現実ゴーグルを着けた被験者の目の前に、自分の体を想定させるマネキンを置き、その映像を見せながら、研究者が被験者の背中をかいた。

 次いで被験者に目隠しをして後ろに下がらせ、元の位置に戻るように指示すると、自分の仮想肉体であるマネキンのあった場所に向かって行った。

 この実験の鍵を握るのは視覚と触覚の混同だと研究チームは解説する。

 ブランケ氏は電話取材に応えて次のように話した。「視覚と触覚という2つの様相を取り出し、仮想情報を使ってこの2つの感覚にまつわる情報を体系的に分離させた。2つの感覚のミスマッチだ」

 研究チームによると、この種の実験は、自己の感覚にまつわる哲学的疑問の解明に役立つ可能性があるほか、現実面でもゲームや遠隔手術に応用できる可能性がある。

 例えば、ビデオを使って離れた場所にある手術室のロボットアームを操作している外科医に、実際に触れているような感覚を提供するといったことも可能かもしれないとエールソン氏は言う。同氏は現在、スウェーデンのカロリンスカ研究所に勤めている。

 「自分自身を丸ごと手術室に転送できれば最も望ましい。今回の実験はそういったことを進展させる一助になる」とエールソン氏は話している。
(2007.8.24/It Media)
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by fbitnews2006-6 | 2007-08-24 16:29 | インターネット総合  

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