PCを通話ツールに――IntelのVoIP計画

IntelはTiVoスタイルの再生機能など高度な機能を備えたVoIP技術で、PCをもっと信頼できる通話や会議のツールにしようとしている。


 インターネット技術は通信を変えた。そして米Intelは、このトレンドをさらに高める決意だ。

 同社はパーソナルコンピュータを、もっと信頼できる通話や会議のツールに変える長期的なキャンペーンを立ち上げている。インターネットを通信コスト削減に利用する代わりに、次の段階として新機能の追加に取り組むと、この計画に参加するIntelのビジネスクライアントアーキテクチャー担当ディレクター、スティーブ・グロブマン氏は語る。「誰が最高の体験を提供できるかがキモだ」

 企業にとってのメリットは、TiVoスタイルの再生機能などの高度な機能によって、オンライン会議をもっと幅広く利用でき、会話にすぐにキャプションを付けられる――複数言語への翻訳も――ことだと同氏は言う。

 Intelの戦略により、通信ハード・サービス専業ベンダーへのプレッシャーは強まるかもしれないと、TeleSpan Publishingの市場調査担当者エリオット・ゴールド氏は指摘する。「Intelが言っているのは、『そういう(ほかの)ものはいらない』ということだ」

 例えば北米のオンライン会議サービスの料金は既に、2000年の1分24セントから、昨年には1分8セントに値下がりしており、一部の大口ユーザー向けの入札額は現在、1分2~4セントにまでなっているとゴールド氏は見積もっている。Intelのグロブマン氏は、会議サービスベンダーと提携して、新しいPC向けサービスを開発したい考えだが、1分当たりの売り上げが危機的状況になるかもしれないということには異議は唱えていない。

 Intelの計画は、従来の電話システムの代替となるVoIP(Voice over Internet Protocol)を活用する。Cisco Systemsなどの企業はVoIPベースのハードとソフトを販売しており、eBay傘下のSkypeやVonage Holdingsなどのサービスは、PCにつないだマイクを使った無料のインターネットベース通話を提供している。JajahやRebtelなどの新規参入企業は、電話機を使ったVoIPベースの国際通話を提供している。

 オンライン会議サービスを利用するには通常、専用のハードかサーバシステム用ソフトを購入する必要がある。だが米Digiumは、会議機能を持つ無料ソフト「Asterisk」を広めた。Microsoft、Adobe Systems、Ciscoに32億ドルで買収されることに合意したWebEx Communicationsなどの企業は、プレゼンテーションやファイルを共有できるPC向けオンラインサービスとVoIPを組み合わせている。

 Intelはこれまで、ワイヤレス技術Wi-FiをノートPCの標準機能にするのを支援してきた。同社の最近の取り組みは、2つの電子頭脳を持つ「デュアルコア」マイクロプロセッサの需要拡大を目指している。Intelは企業のデスクトップ・ノートPC向け「vPro」「Centrino Pro」でこれらの部品をほかのチップと組み合わせている。

 2つの演算エンジンでは、ビジネスクラスの通信を保証するには不十分だ。例えばVoIPベースの通話は頻繁に音がとぎれたり、コンピュータのクラッシュ時に完全に停止することがあるとグロブマン氏は言う。

 Intelはその対策として、仮想化を支援する新しいチップ機能を開発する。仮想化とは、PCのOSをハードから隔離して、セキュリティと信頼性を高める技法。同社は2008年までに、「コラボレーションバーチャルアプライアンス」と呼ばれる隔離されたソフトウェアレイヤーを加える見込みだ。これをインストールすると、PCのメインOSがクラッシュしてもVoIPの通話や会議が中断されることはないと同氏は説明する。

 この技術を土台に、会議中に話している人を特定する機能や、発言者以外で音を立てている参加者の音量を消す機能などの改良を各社が加えるかもしれないと同氏は言う。同氏は、いずれは自動字幕や翻訳などの高度な機能が登場すると期待している。

 Intelは提携を活用して自社の計画を推進してきた。2006年2月にSkypeと交わした提携には、SkypeサービスをIntelのデュアルコアプロセッサ向けに調整する取り組みや、10人が参加できる無料のPCベース会議が含まれる。またIntelは5月9日に、同社の通話サービスを支援するチップを提供するJajahの2000万ドルの投資ラウンドに参加した

 一部の業界幹部は、PCベースの通信を、従来の電話網を使ったサービスと同じくらい信頼できると企業が思うか疑問だとしている。「通信事業者クラスの品質を達成しなければならない」とWest Corp.のオンライン会議部門InterCallのマーケティング・戦略事業開発副社長ロバート・ワイズ氏は語る。

 Ciscoの統合通信事業の副社長兼ジェネラルマネジャー、リック・マコーネル氏は、IntelがPCを「できるだけ優れた通信ツール」にしようとしていることを賞賛している。

 しかしコンピュータがCiscoやHewlett-Packardなどのハイエンド会議室システムのような専用ツールに対抗するのは容易ではない。「それでもPCは、求められる多くのデバイスの1つになると確信している」と同氏は言う。(2007.5.22/ウォールストリートジャーナル)
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by fbitnews2006-6 | 2007-05-22 15:32 | インターネット総合  

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