"ユーザー"にシフトし続ける検索エンジン




検索エンジンを通じてマーケティングを行う、(リスティング広告における)広告主や、(SEO における)サイト運営者の方々に伺ってみたい事がある。近頃、検索エンジンに対する"不自由さ"、言い換えれば"思い通りにならない"感覚が徐々に高まり、検索エンジンの"不透明さ"や"複雑さ"が増してきているように感じてはいないだろうか。

もしそう感じているとしたら、状況の認識としては、ある意味正しいものだ。しかし、その認識に対してネガティブなイメージを抱くのなら、それは残念ながら、検索エンジン会社の考え方を理解していないか、無意識にユーザーを軽視している可能性がある。検索エンジン会社の考え方を理解できなければ効果的な SEM は行えないし、そもそもユーザーを軽視してはマーケティング活動はおぼつかない。やや注意が必要な状態だ。

検索エンジン会社の目的は、ユーザーが探している情報に対して、その意図に沿った最適な情報を提示する事だ。つまり、ユーザーの意図に沿わない可能性がある、適切ではない情報の提供は、本来あるべきではない。また「ユーザー」と一括りに言っても、検索される回数分、「人」と「その意思」は存在する。人々は様々な興味関心・バックグラウンドを持ち、程度の差こそあれ、同じ人は二人として存在しない。

上の考え方をベースに、多様な背景を持つ人々に対して、より個別に、より適切な情報をピンポイントで提供したい検索エンジン各社の試みが、徐々に実現してきているのが最近の状況だ。検索エンジン会社が独自に有するデータベースや技術を元に、ユーザーやその一人一人にスポットを当てた仕組み、より適切ではない情報が排除される仕組みが構築されつつある。

検索エンジンからユーザーの一方通行ではなく、それぞれが情報を交換し合う、継続的で相互作用的な仕組みができつつあるとも言えるだろう。広告主やサイト運営者が感じる(かもしれない)"不自由さ"や"不透明さ"は、それに起因するものだ。その幾つかを、以下に記載してみよう。

・Google のパーソナライズド検索導入

パーソナライズド検索は、ユーザーの検索履歴を元に、よりユーザーにマッチした検索結果を提示する技術だ。簡単に言うと、動物に関する検索を日々行う事が多いユーザーが「キリン」と検索した場合、「飲料メーカーのキリン」ではなく「動物のキリン」に関する情報が優先的に上位表示される仕組みだ。2007年2月より、Google アカウントを新規に取得したユーザに対しては、このパーソナライズド検索が標準で有効となっている。

・Google アドワーズ広告のパーソナライズド配信
昨年の9月頃、WebmasterWorld の掲示板で、アドワーズ広告をクリックしないユーザーには、その履歴を鑑みて、プレミアムポジションでの広告掲載がされないようにするテストが行われているのではないか、という書き込みがあった。

現時点では、アドワーズ広告のパーソナライズに関して Google から公式にリリースされた情報はないが、いずれそうなったとしても少しもおかしくはないだろう。アドワーズ「広告」とは言え、検索結果に表示される「情報」である事には変わりない。

・Overture スポンサードサーチの品質インデックス導入
直近、"不自由さ"を感じるとしたら、その最右翼がこの「品質インデックス」だろう。既に移行作業が始まっている Overture の新プラットフォームでは、広告掲載において「品質インデックス」を指標として取り入れる。Google では既に導入されている「品質スコア」と非常に近しいと予測される指標であり、広告のクリック率などをベースとして算出される。今までは入札単価とキーワードのマッチタイプにより決定されていた広告の掲載順位は「入札価格×品質インデックス」に変更され、ユーザーアクションの結果が反映されるようになった。

なお、Overture がパーソナライズして広告を配信するという情報は(テストも含め)現時点ではリリースされていない。しかし、Overture が Yahoo!JAPAN の子会社となる事により、2千万近い会員数を誇る Yahoo!ID 情報と連動した広告配信を行う可能性もあるのではないだろうか。また、以下に記載するソーシャル化が進む可能性もあるだろう。

・Yahoo!JAPAN のソーシャル検索
Yahoo!JAPAN は、ソーシャル検索に力を入れていこうとしている。パーソナライズド検索とは異なり、検索をするユーザーが所属する集団・コミュニティの参加者属性や嗜好性に合わせて結果が変化する検索だ。例えば、音楽のコミュニティに所属して、音楽関連の検索を行うと、そのコミュニティが評価するサイトが優先的に検索結果に表示されてくる具合だ。米国では既に「Yahoo! MyWeb2.0(ベータ版)」がリリースされており、実験的な運用が開始されている。

大きな動きとしては、およそ以上だろう。もうお分かりではあろうが、リスティング広告は、「予算を投入すれば必ず上位に広告が掲載されるという事はない」し、「ユーザーに支持されない広告は掲載そのものが難しい」状態ですらある。SEO は「同じキーワードでも人によって検索結果が異なる」流れが進み、検索結果の順位にのみこだわる SEO もいずれ終焉を迎える事だろう。

SEO において、キーワードを Web ページに大量に埋め込んでいれば良かった時代から考えると、隔世の感があるのではないだろうか。検索エンジン会社の技術が進歩し、データが蓄積されればされるほど、彼らはユーザーの利便性を追求し、ユーザーの効率的な情報取得に寄与する。

つまり、ユーザーに支持される広告主や Web サイトは、検索エンジンからますます高い効果を上げ、そうではない広告主や Web サイトは、その逆の状況となるだろう。そして、その流れが止まる事は今後も無く、その差は開く一方となる。

この空前の規模で押し寄せつつあるユーザー主導の時代、貴方は「不自由さ」を感じるだろうか、それとも「チャンス」と考えるだろうか? 是非、後者であってほしいと願う。

(2007.5.8/japan.internet.com)
[PR]

by fbitnews2006-6 | 2007-05-08 18:57 | インターネット総合  

<< ネット上の間違い情報5割近くが... 携帯かざして情報取得──“紙”... >>