「Intel Ultra Mobile Platform 2007」正式発表



 Intelの開発者向け会議Intel Developer Forumは、最終日となる2日目を迎えている。18日はモバイル関連、プロセスルール関連の基調講演が行なわれているが、その中でもっとも注目を集めたのが、アナンド・チャンドラシーカ上席副社長(ウルトラモビリティ事業部 本部長)による、UMPCに関する講演だ。

 すでに、本誌でも既報の通り、Intelは07年のUMPC向けのプラットフォームとしてMcCaslin(マッカスリン)、08年はMenlow(メンロー)というコードネームで開発を続けてきたが、McCaslin(マッカスリン)が“Intel Ultra Mobile Platform 2007”という正式名称で発表になった。また、その講演の中でNTTドコモ 執行役員の徳広清志氏がビデオ出演し、Intel Ultra Mobile Platformへの期待感を語った。

●インターネットの弱点はまだ“ワイヤード”であること

 チャンドラシーカ氏は、モビリティ事業本部のダディ・パルミッター氏(上席副社長兼モビリティ事業本部 本部長)の講演の中の後半に登壇し、IntelのUMPCへのビジョンを語った。

 チャンドラシーカ氏は「2000年にはインターネットは文字ベースがほとんどだったが、今はメディアやコミュニケーションなどより多彩な使われかたをされるようになっている。しかし、未だにインターネットは弱点を抱えている、それは“ワイヤード”であるということだ」と述べ、未だに本格的なワイヤレスインターネットが実現していないという現実を指摘した。


 携帯電話を駆使してインターネットコンテンツを楽しむことになれている日本のユーザーにしてみたら、ちょっと違和感のある発言だが、全世界的にみればチャンドラシーカ氏が言っていることは正しい。チャンドラシーカ氏に先だって講演したパルミッター氏の講演では、2006年の終わりには27億の携帯電話の契約が全世界で結ばれているが、そのうちインターネットにアクセスできる端末を持つユーザーの数はわずか3,500万台にすぎないという調査結果が明らかにされている。日本だけでももう少しあるのではないか、という気はするが、それでも世界的に見れば音声しかできない端末の方がまだまだ多いのは事実だろう。

 チャンドラシーカ氏によれば、そうした携帯端末に足りないのは、PC並みのパワーであるという。「PCの強みは、ハードウェアとソフトウェアによるスパイラルだ。新しいCPUがでれば、その処理能力を生かすソフトウェアが登場する。逆にソフトウェアの方がCPUの処理能力を上回れば今度は新しいCPUが登場する……というような良好なスパイラルにあるのがPCの強みといえる。それを携帯端末にもたらすことで、インターネットにワイヤレスをもたらすことができるのだ」(チャンドラシーカ氏)と述べ、現在のPCアーキテクチャが携帯端末に入っていく上で難しい問題(発熱や消費電力など)を解決さえすれば、新しい市場が作れるというビジョンを示した。

●実装面積は1/3、平均消費電力と待機時消費電力は1/2になる07年プラットフォーム

 そして、その解決策として、Intelが発表したのが、McCaslin(マッカスリン)という開発コードネームで開発されてきた“Intel Ultra Mobile Platform 2007”だ。チャンドラシーカ氏によれば、Intel Ultra Mobile Platform 2007は、Stealeyの開発コードネームで開発されてきた熱設計消費電力が3Wを切るA100、A110というCPUと、LittleRiverの開発コードネームで開発されてきた22×22mmという小型パッケージを備えるIntel 945GU、さらに15×15mmの小型パッケージのサウスブリッジとなるICH7Uの3つのチップから構成されているという。

 「Intel Ultra Mobile Platform 2007では、2006年のプラットフォームに比べてプラットフォーム全体での熱設計消費電力はほぼ同等で、実装面積は1/3に、平均消費電力は1/2に、さらには待機時消費電力も1/2になっている。重要なことは、我々はこれらの低消費電力や実装面積の削減を処理能力や互換性の低下を招くことなく実現していくことだ」(チャンドラシーカ氏)と述べ、Intel Ultra Mobile Platform 2007の低消費電力、小さな実装面積などをアピールした。

 また、チャンドラシーカ氏は、開発中のIntel Ultra Mobile Platform 2007ベースのUMPCを公開した。この中で、富士通の製品も紹介されていた。今のところ、富士通から正式に発表されていないので詳細は不明だが、液晶は回転型を採用しており、通常のノートPCとしても利用できるようなコンパクトなPCとなっていた。

 なお、チャンドラシーカ氏によれば、Intel Ultra Mobile Platform 2007を搭載した製品の発売は、今夏が予定されているという。

●08年にはさらなる小型化と低消費電力を実現するMenlowプラットフォームを投入

 さらに、チャンドラシーカ氏は今後のLPIAのロードマップに関しても語った。「我々は2008年前半にMenlowプラットフォームを投入する。Menlowは2006年の製品に比べて、プラットフォーム全体の熱設計消費電力と実装面積が1/4に、平均消費電力が1/4に、待機時消費電力は1/5になる」と述べ、MenlowではIntel Ultra Mobile Platform 2007よりもさらに実装面積の低減と消費電力の削減が可能であることを明らかにした。

 チャンドラシーカ氏によれば、MenlowはCPUの“Silverthorn”(シルバースロン)、チップセットの“Poulsbo”(ポールスボー)から構成されているという。Silverthornは45nmプロセスルールで製造され、UMPCに最適化された設計が施されたCPUで、熱設計消費電力は2006年CPU(5W)の1/10になるとのことなので、0.5W前後となる可能性が高い。さらに、チップセットのPoulsboを利用することで、フルPCデザインをカードサイズにすることが可能になるという。

 チャンドラシーカ氏は台湾のODMメーカーのCOMPALにより製造された、Menlowプラットフォームを採用した製品のライブデモを行なった。壇上でYouTubeのビデオ再生を行ない、フルPCとして動くことをアピールした。

●NTTドコモがIntel Ultra Mobile Platformへの期待感を表明

 また、チャンドラシーカ氏の講演では、Intel側の製品開発だけでなく、UMPCのエコシステムを作る取り組みに関しても説明が行なわれた。Intelは、このUMPCを製造するODMメーカーの業界団体である“Mobile Internet Device Innovation Alliance”が結成されたことが明らかにされた。この業界団体には、UMPCを製造する台湾や中国のODMメーカーであるCOMPAL、ASUSTeK、BenQ、htc、Quanta Computerなどが加盟しており、共同でUMPCの立ち上げを行なっていくという。

 現在のPCのビジネスモデルでは、こうした台湾のODMが安価なマシンを製造し、それを日米のOEMメーカーが自社ブランドで販売していくという形になっているため、どうしてもこうしたODMメーカーをサポートしていくことが必要になる。このMobile Internet Device Innovation Allianceは、IntelのODMメーカーに対するサポート姿勢を明らかにするためのものだと考えられるだろう。

 また、こうしたUMPCのような製品では、WiMAXなりHSDPAといったネットワークサービスとの連携がどうしても必要になる。そこで、キャリアとのパートナーシップもエコシステムを作り上げる上で重要だと言えるが、今回Intelがキャリアのパートナーとして登場させたのは、日本のNTTドコモだった。

 NTTドコモの執行役員の徳広清志氏はビデオの中で、「McCaslinやMenlowベースのモバイルインターネット機器が登場することに大変期待している。今後我々はIAソリューションを既存の顧客に提供することを業界のパートナーと歩調を合わせて検討していきたい」と語り、NTTドコモがLPIAベースの端末を将来的に提供する可能性があることを明らかにした。

 今後、スマートフォンの上位バージョンとして、UMPCをキャリアが提供していく可能性がでてきたということになるわけで、今後の動向に注目していきたいところだ。
(2007.4.18/impress Watch)
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by fbitnews2006-6 | 2007-04-18 18:45 | 周辺機器  

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