アップル、次期Mac OS Xリリースを10月に--原因はiPhone開発




 Appleの次期Mac OS X「Leopard」のリリースが10月までずれ込むことが明らかになった。理由は、「iPhone」の出荷予定を守るためだという。

 Appleは米国時間4月12日の株式市場終了後、プレスリリースでスケジュールの延期を発表した。iPhoneのリリースは現在予定通りで6月となっているが、iPhoneのリリース時期を守るため、Leopard開発者や品質保証スタッフのプロジェクト変更が必要だった、と同社では説明している。ちなみに、同社では、6月に「Worldwide Developers Conference(WWDC)」の開催を予定している。

 その結果、今春にLeopardをリリースする、というAppleが過去数ヶ月間繰り返して述べていた計画が難しくなった。「最終版に近い」同OS(Mac OS X 10.5)がWWDCでテスト用に開発者に配布され、現在のところ最終リリースは10月になるという。

 「人生にはトレードオフがつきものだ。今回の場合、正しい選択であったと確信している」と同社はプレスリリースで述べた。

 Appleの関係者は延期に関し、声明文以外の詳細を明らかにしていない。

 一方、ウォールストリートがこれに即座に反応し、Appleの株価は時間外取引で2%をわずかに上回る額下落した。Endpoint Technologies AssociatesのアナリストRoger Kay氏は、「彼らは自分たちの実行能力に対する人々の信頼を低下させた」と語った。

 アップルは、2月にも「Apple TV」の発売延期を余儀なくされているが、当時はその理由を明らかにしなかった。Apple TVはその後3月に発売された。

 今回の延期については、その原因こそ異なっていたが、うわさが正しかったこととなる。Digitimesは3月、Appleが同OSのリリースを10月まで延期する計画であることを伝えていた。ただし、原因については、「Boot Camp」ソフトウェアと「Windows Vista」の互換性を確保する時間が必要なためと述べていた。


 しかし、アナリストはこの報道を軽視し、Appleもその後ほどなくVista互換バージョンのBoot Campをリリースした。Intel Mac上でWindowsを起動できるようにするBoot Campは、Leopard出荷時には同OSに内蔵される予定だ。

 Appleの最高経営責任者(CEO)Steve Jobs氏は、2006年のWWDCでLeopardを先行公開し、「Time Machine」バックアップソフトウェアや、非常に洗練された新しいタイプのアプリケーションを開発できるようにする「Core Animation」など、いくつかの機能を披露した。

 AppleはかねてよりLeopardの出荷を2007年春と述べていたが、同社とその観測筋は、Jobs氏による1月のMacworldでの発表以来「iPhone」に夢中になっていた。

 Leopardの発売延期を伝えるAppleの声明も、iPhoneが6月下旬出荷予定であることを強調する文章から始まっている。Leopardの話が出てくるのは後半に入ってからだ。

 声明には、「しかし、iPhoneには携帯端末用として史上最も洗練されたソフトウェアが搭載される。これを予定通りに投入するために、ほかにしわ寄せが来てしまった。ソフトウェア開発や品質保証関連の重要なリソースをMac OS Xチームから呼び寄せなくてはならず、その結果、6月上旬開催のWorldwide Developers Conferenceで予定通りLeopardをリリースすることができなくなった」とある。

 Kay氏によると、この延期はMacの出荷台数にさほど大きな影響は与えないという。第3四半期にLeopardの売上高を計上することはできないが、iPhoneの売上高がこれを相殺するはずだと、同氏は語っている。

 しかし、Current AnalysisのアナリストSamir Bhavnani氏によると、Appleでは、PCにとって一年で2番目に重要な時期である入学シーズンに製品が間に合わなくなるという。8月と9月にMacを購入する人にはLeopardへのアップグレードクーポンを提供することも検討すべきではないか、と同氏は語っている。これは、Vistaが2006年の年末商戦に間に合わなかったときにWindows PCベンダー各社が講じたの同様の措置だという。

 Appleは、iPhoneかLeopardのいずれかをスケジュール通り出荷するという二者択一を迫られたようだ、とBhavnani氏は語っている。同氏は、「iPhoneはLeopardより優先される。PCの方は(今から10月まで)販売していけるとの感触だが、電話機の方は現時点で発売すらできていない」と語っている。

 iPhoneの発売日に遅れが生じれば、競合各社にタッチスクリーン搭載スマートホン投入のための時間を与えることになる。サムスン電子の「Ultra Smart F700」など、既に開発が進んでいる製品もいくつかある。

 またiPhone以外にも、Leopardには、Appleが認めているより多くのバグがあるのではという話もある。AppleInsiderは13日、テスト用として開発者に配布された最新版のLeopardは、実は3月に配布された前バージョンよりバグが多かった、と報じている。インストーラ、QuickTime、およびグラフィックスハードウェアで「重大な」バグが見つかっている、と同サイトは述べている。

 しかし、Apple関連の今の動きには、いずれにもiPhoneの影が見え隠れする。Jobs氏はiPhoneの発表をかなり重視し、その場を借りてAppleの社名から「Computer」の文字を削除することまで発表した。現在、同社の正式名称は単純に「Apple Inc.」となっている。

 「Appleは家電メーカーだ」とBhavnani氏は述べる。そして、これは必ずしも悪いことではないという。iPodはかなり利益性が高く、iPhoneも大きな話題となっている。Appleの優先事項に変化があったのだ、と同氏は語る。

 Appleコミュニティーは、延期のニュースに落胆したようだったが、Leopardについては問題を抱えて出るより遅れた方がよいとして事実を受け入れた。「確かに悪いニュースではある。しかし、私、そして私が知る開発者のほとんどは、現在のテスト版10.5で非常にバグが多かったことから、このことを予期していた」とDaring FireballのJohn Gruber氏は自身のApple関連ブログで述べた。「Appleの選択肢としては、リリースを数カ月先にするか、バグの多い10.5.0を出すかのどちらかだった」(Gruber氏)

 このような意見に対してUnofficial Apple WeblogのDavid Chartier氏も、「スイスチーズより穴が多く、質の悪いリリースを6月に出されるよりは良いという考えに賛成だ」と述べている。
(2007.4.13/CNET Japan)
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