検索エンジン各社、隠れサイトで新機能をテスト


いまや検索エンジン各社は、新しいアイデアをスピンオフサイトで一般に公開し、ユーザーにフィードバックを求めるようになっている。

 米Googleの長年の愛用者であるコンピュータコンサルタントのケビン・マッカーティ氏(42)は最近、Googleよりも役に立ちそうな検索エンジンを発見した。それは、SearchMash.comというサイトだ。このサイトでは、Googleなどの主要検索サイトとは異なり、ビデオ、画像、テキストをまとめて検索できる。

 「ページをあちこち移動しなければ、画像とテキストの検索結果を確認できない、というのは非常に面倒だ」とテネシー州ナッシュビル在住のマッカーティ氏。

 だが結局、このSearchMashサイトはGoogleのサイトであることが分かった。検索エンジン最大手のGoogleとその主要なライバル各社は数カ月前から、それぞれ秘密裏に新世代の検索エンジンを立ち上げ、一般ユーザーを相手に新しいツールや新機能をテストしている。こうした方法であれば、既に実証済みの確実な検索手法を危険にさらすこともなく、もし何か成功しそうな要素があれば(例えば、マッカーティ氏が気に入っている混合型の検索結果など)、最終的にはメインサイトに組み込まれることになるのかもしれない。ただし今のところ、こうしたサイトは、Web、とりわけ検索エンジンの進化の流れを、楽しく、なおかつ有用な形で垣間見せてくれている状態だ。ここ何年間も、検索エンジンの基本的な操作はほとんど変わっていない。

 Googleは2006年9月、Googleのブランド名を付けずにSearchMash.comを始動した(ただし、同サイトのプライバシーポリシーにはGoogleのサイトであることが明記されている)。SearchMashでは、通常のGoogleと同じ検索結果が、まったく異なるインタフェースで提供される。ビデオ、ブログ、画像の検索結果が、それぞれ折りたたみ式のメニューで同一画面に表示されるのだ。また2006年12月には、IAC/InterActiveCorp傘下のAsk.comがAskX.comを始動させた。このサイトでは、検索結果ページが3つのパートに分割され、通常の検索結果は中央に並べられ、画面左手には、検索を絞り込んだり広げたりするためのキーワード候補が表示され、画面右手には、ニュースや辞書などのカテゴリー別に分類された検索結果が表示されるようになっている。

 Yahoo!は現在、AlltheWeb.comとAltaVista.comを使って(どちらも、ここ数年に買収したサイトだ)、Livesearchなどの新機能をテストしている。Livesearchは、ユーザーが検索キーワードを入力し始めた途端に、検索候補のキーワードが表示されるという機能だ。またMicrosoftのWindows Live部門は最近、MsDewey.comを始動した。この検索エンジンの特徴は、実際の女性を使ってあらかじめ録画されたビデオクリップに対してクエリーを提出するという点。画面には、胸元のあいた黒いスーツ姿の秘書風のお姉さん“Ms. Dewey”が現れ、検索を受け付けてくれる。Microsoftはこのサイトを、高解像度の画像と音声を備えた風変わりなインタフェースに対するユーザーの反応を考査するのに役立ている。Ms. Deweyは入力されたクエリーの内容に応じて、台本にある1000種類程度のセリフのなかから、もっともらしいコメントを返してくる(検索結果は画面脇に表示される)。例えば、「ブッシュ大統領」と入力すれば、Ms. Deweyからはおそらく次のようなコメントが返ってくるだろう。「あら、あなた、気を付けて。あなたの名前を司法省に報告してしまおうかな」

検索エンジンのテスト用スピンオフサイト サイト名(企業名) 特徴 注記
SearchMash.com(Google) 検索結果ページには、ブログ、ビデオ、画像、Wikipediaの検索結果を表示する区画が用意されている。Hide Detailsボタンを使えば、1ページに表示される検索結果数を増やせる。 新機能が数週間おきに入れ替えられている。
AlltheWeb.com(Yahoo!) Livesearch機能では、キーワードの入力途中からクエリー候補が表示され、入力に応じて検索結果も更新される。 Refine Searchメニューを使って設定を更新すれば、例えばMicrosoft Word文書など、特定の種類のファイルだけを検索するようにできる。
MsDewey.com(Microsoft) 案内役のMs. Deweyは入力されたクエリーの内容に応じて、台本にあるセリフのなかから、もっともらしいコメントを返してくる。 このサイトは、もっと面白い検索体験の提供を目指している。Ms. Deweyは、例えば、ユーザーがなかなか検索を始めないと、退屈そうにしたり、顔をしかめたりする。
AskX.com(IAC/InterActive Corp.) 検索ボックスの上にあるメニューをクリックするだけで、Web、画像、ビデオの検索結果を切り替えられる。そのほかのタイプの検索結果(ニュースや百科事典の検索など)は画面右手に表示される。 1度AskX.comにアクセスすると、次にAsk.comの方にアクセスしようとしても、自動的にAskX.comが表示される。Ask.comの通常のホームページに戻りたい場合は、スイッチバックオプションをクリックする。


 大手検索エンジン各社は何年も前から、テストサイトや研究所を社内で独自に運営している。そして、メインサイトでもしばしば、大概はユーザーに知らせることなく、レイアウトやフォーマットの微調整をテストしている。だが、いまや各社は、大胆かつ新しいアイデアを広く公開し、ユーザーにフィードバックを求めるようになっている。AskX.comにはフィードバック用のリンクが用意され、検索結果のクオリティーに対する感想を伝えられるようになっている。またSearchMashの検索結果ページにはボックスが設置され、検索結果が役立ったかどうかを、Web、画像、ブログ、ビデオなどのカテゴリーごとに報告してもらうようになっている。
エンターテインメント性を重視したMsDewey.comを除いて、これらのサイトはいずれも、より有効な検索結果を提供するための新機能のテストを目的としており、人気が出るようであれば、メインサイトへの組み込みも想定されているものが多い。ユーザーは、そうした新機能を試すだけでよく、必ずしも評価する必要はない。ユーザーに検索結果の妥当性を評価してもらい、コミュニティー主導型の検索エンジンの実現を目指すサイトとは異なり、こうした検索エンジンのスピンオフサイトでは通常、メインサイトで提供されるであろう検索結果と同じ内容が、提示方法だけ変えて提供される。例えば、これら4つの検索エンジンはいずれも、乱雑な印象を与えたくないとの理由から、これまでのところ、画像検索やビデオ検索、地域情報検索など各種の検索結果を1つの画面に統合するという一歩を踏み出さずにきた。

 だが、スピンオフサイトではそうしたアプローチを採用し、複数ソースの検索結果を同じ画面に表示したりしている。もう1つの課題は、「ユーザーの意図をより正確に推測し、最初から検索をやり直さなくても軌道修正できるよう手助けすること」だ。GoogleのSearchMashでは、スペルチェックによって修正したキーワードの検索結果を本来の検索結果に混ぜ込むという方法を既にテスト済みだ(同サイトでは、数週間おきに新機能が入れ替えられている)。また、ユーザーがキーワードを入力し終えないうちからクエリー候補を表示するというYahoo!のLivesearch機能は、最初はAlltheWeb.comで提供されていたが、現在は同社のテストプロジェクト用サイトnext.yahoo.comで提供されている。

 ユーザーがインターネット検索サービスに単なる基本情報以上のものを求めるようになるにつれ、検索エンジン各社も手の内を明かすようになっている。なにしろ、一般的な検索モデルはここ10年ほど、ほとんど変化していない。「インターネットユーザーの90%にとっては、現在の検索は1998年のものとまったく変わっていない」とNielsen//NetRatingsの主任アナリスト、ケン・カッサー氏は語っている。

 だが、ビデオや地図、ソーシャルネットワーキングのプロフィールなど、新しいコンテンツが登場し、そうしたコンテンツの検索を高速化するブロードバンドも普及するなか、まったく新しい検索アプローチがすぐそこまで迫っている、と予想する向きは多い。「検索とユーザーインタフェースは、まだ初期の段階にある」とWindows Live部門の上級プロダクトマネジャー、ジャスティン・オスマー氏は語っている。

 こうした見通しは、2007年には有料検索市場が76億ドル規模に拡大するというJupiterResearchの予測と相まって、多くの新興企業を生み出している。例えば、Wikipediaの創業者は近く、検索エンジンSearch Wikiaを始動させる計画だ。(2007.1.19/IT Media)
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by fbitnews2006-6 | 2007-01-19 18:03 | インターネット総合  

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