電力線通信、手探りのスタート 専用アダプターを販売



 家庭の電気コンセントにつなぐことで高速インターネットに接続できる電力線通信(PLC)の専用アダプターの販売が9日、始まった。既存の屋内電線を使うため新たな配線工事は不要で、無線LAN(構内情報通信網)に代わる便利な通信システムと注目を集めているが、10月の利用解禁から発売まで日が浅いうえ、性能に関する情報不足もあってか、西日本最大の電気街、日本橋などの店頭でもまだ地味な扱い。ヒット商品となるかどうか模様眺めといった様子だ。

 PLCは電気を運ぶ電線に、文字や画像などを乗せて送る技術のことで、発売されたのは松下電器製のPLC用アダプター。KDDIもサービスの提供を予定している。

 PLCを利用するには、インターネット接続業者と契約し、ADSLや光ファイバーに加入する。PLCのアダプターの親機をADSLのモデム(光ファイバーはルーター)に、子機を電力コンセントに接続。パソコンは子機とつなぐ。

 この日、さっそくPLC用アダプターを店頭に並べた大阪・日本橋の家電量販店。男性店員は「鉄筋コンクリート造りの建物で部屋を隔てたり、階が違ったりした場合、無線LANがつながりにくくなる場合がある。ADSLモデムなどからLANケーブルを何メートルも引き回す必要もない」と利便性を強調する。

 ただ、無線LANに比べると、費用は高くつく。この量販店では、親機と子機のセットを1万9800円、子機は1万2800円で発売。たとえば4LDKの一戸建てで各部屋で使用する場合、親機と子機のセットと子機4台を購入すると合計7万1000円もかかる。また、通信速度は最大毎秒55メガバイトとADSLよりも高速を売りにしているが、実測値はこれを下回り、電力線の状況によっても変わるという。すでにADSLや光ファイバーなどのブロードバンドが普及しているため、ニーズを予測するのは難しいという。

 男性店員は「総務省による10月の利用解禁から、実際にアダプターが発売されるまでの期間が短く、情報が少ない。電力線の状態にもよるので、古い建物の場合、どれだけの通信速度になるのかわかりません。説明が難しい」と困惑気味に話していた。

                   ◇

 ≪医療機器への影響懸念 厚労省が注意文書≫

 PLCアダプターについて厚生労働省は先月、「医療機器への影響が完全に否定できない」などとして、注意を呼びかける文書を都道府県や日本医師会などに出した。

 通知では「医療機器によっては誤作動を生じさせるおそれがある」「PLC機器と医療機器を併用する場合には安全対策上の措置を講ずるべきだ」などとし、誤作動があった場合には同省に速やかに報告するよう求めている。

 同省安全対策課は「基本的には大丈夫と思われるが、データがないので百パーセント安全とはいいきれない。PLC機器と医療機器を併用するときには十分な注意が必要」と指摘。ただ、3年前から同様のシステムを導入している欧米では、これまで医療機器に問題があったというケースは報告されていないという。

 一方、PLCの影響をめぐっては、アマチュア無線などの電波障害を引き起こす可能性があるとして、全国33都道府県のアマチュア無線愛好家115人が今月7日、国に対して、PLC関連機器の販売認可の取り消しなどを求める訴訟を東京地裁に起こしている。
(2006.12.9/産経新聞)
[PR]

by fbitnews2006-6 | 2006-12-10 00:28 | インターネット総合  

<< 米グーグル中国担当副社長、就任... 「ワンセグ」じわり普及 放送と... >>