「米国より厳しい基準でいく」・マイスペース日本法人香山社長に聞く

 日本最大のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)ミクシィに、世界最大の米マイスペースがソフトバンクと組んで挑戦状を突きつけている。しかし著作権の権利処理が複雑な日本で、マイスペースの最大の特徴である音楽や映像ファイルの投稿を米国同様の人気サービスに育てられるかどうかは未知数だ。マイスペース日本法人の社長に就任する香山誠氏に目算を聞いた。

――日本語版の出足は

 日本語版の開始後、最初の約10日間で1日3000―4000人くらいが登録した。まだ日本語化も十分ではないことなどを考えればまずまずの出だしだ。

 マイスペースのユーザーは米国では8000万人、世界で1億3000万人を超えている。11月7日には世界で1億2500万人といっていたので、10日間程度でミクシィ1個分近くが増えていることになる。


――かなり駆け足で準備したという印象を受けるが

 準備を始めたのは6月後半から。実質的に準備にかける時間は2カ月だった。マイスペースのダブルバイト文字対応は初めての試みだったので実証実験というニュアンスもあった。ぎりぎりのスケジュールで、必死で間に合わせたという感じだ。


――ソフトバンクはいつごろからSNSに関心を持っていたのか

 実は3年前、米大手SNSを日本に持ってくる予定だった。当時4000万人の登録者を持つ有力SNSだったが、話がまとまる直前に別の企業に買収されて、実現しなかった。あのとき参入できていたら、ミクシィより早く成長できたのではと思う。当時すでにそのSNSは広告モデルで利益も出ていた。

 私自身がそのプロジェクトにかかわっていたこともあり、今回孫正義社長から指名された。当時からマイスペースにも注目していた。3年前の失敗とSNSの研究を生かしたい。







――ほかのSNSと比べた魅力は

 音楽や動画などリッチメディアを使って自己表現できるところだ。同じ音楽に興味を持った人を「友達リスト」に追加するのが気軽にできる仕組みになっていることも特長だ。


――日本のレコード会社との交渉状況は

 先日レコード会社を集めて説明会を開いた。既に数十社は、実験的な利用を含めて、マイスペースへの参加を承諾してもらっている。

 音楽を掲載するにはマイスペースへのアーティスト登録が必要だ。米国では誰でも登録できるが、日本では著作権侵害などが起きないよう、事前に厳しくチェックする仕組みを整えてから登録を始める予定だ。できる限り早く始めたい。

 特殊なコードを使ってレコード会社との間でアーティストの本人確認を行う。権利団体に登録していない人はアーティストとして登録できなくすることで「なりすまし」を防ぐ。もちろん、登録したあとのチェックもしっかりできるよう、音楽の権利関係の自動検知システムの導入も検討中だ。




――動画投稿サービスの開始には時間がかかりそうだ

 米国では利用者が投稿した映像を一定の基準で事前にチェックしている。アダルト関連や暴力的な映像については掲載前に削除する。しかし著作権については事前チェックで判断できないものもあり、掲載後の事後処理となっている。親会社の米ニューズ・コーポレーションは大手テレビ局などを抱えるメディア企業だから、そもそも映像の内容に関してはきちんとチェックする方針だ。

 不適切な映像の自動検知システムにも力を入れている。映像に占める肌色の割合を自動で解析してアダルト映像を自動で割り出すなどの仕組みを日本にも取り入れる。米国に300人強のチェック担当者を置き、世界のマイスペースの投稿コンテンツを日々チェックしている。

 日本では米国と法律も異なり、同じパターンでできるとは思っていない。権利関係者と話を始めており、きちんとしたスキームを作ってから始めたい。ただ、映像は音楽よりもハードルは高そうだ。ニューズのグループ会社が持つコンテンツは前向きに提供を検討している。

 

――ソフトバンクの既存事業とのバッティングは




 ヤフーのポータル事業との整合性などが指摘されているが、今のところそういった心配はしていない。むしろマイスペースがそこまで大きくなることができれば成功だろう。ヤフーのSNSもまだまだ規模が小さい。お互いが強くならないと協力しても意味がない。


――米国では若年層問題が深刻化している

 14歳以下は登録できないし、18歳以下のプロフィルは検索できないような仕組みを取り入れている。具体的な手法は明かせないが、年齢を偽って登録しても、独自の方法で発見し、登録を強制削除できるようになっている。この方法で毎週3万プロフィルを削除している。日本でもこの手法を導入したい。




――携帯電話にも展開する

 米国では既に携帯事業者と提携して携帯版のサービスを広げている。日本でも当然準備を進めている。あくまで基本姿勢は、どの携帯事業者に対しても中立的だ。ソフトバンクモバイルは別途SNSの仕組みを整えているところだったので、うまくその基盤に乗ることができればほかより先に導入するかもしれない。






――日本ユーザーからはインターフェースが使いにくいとの声も挙がっている

 最初から完璧なものはない。米国でもユーザーの声を聞いて1つ1つバグをつぶしながら走ってきた。ユーザーと一緒に作るサイトなのだ。

 日本に合わせたローカライズも必要だが、マイスペースは世界中に友達を作れることが決定的な特長なので、ある程度世界共通の仕様は欠かせない。(プロフィル欄に「ゲイ」「レズビアン」などの選択肢があるなど)日本人にはなじまない表記もあるかもしれないが、あえて残している。

 中国にも参入を検討しており、アジアにも友達の輪がどんどん広がることになる。日本のコンテンツや文化を輸出することにもつながり、相互理解のためにも役立つサービスとなるのではないか。





<香山誠・マイスペース社長、ソフトバンク・ヒューマンキャピタル社長>

 1957年生まれ。1986年にソフトバンク入社。ソフトバンク・イーシーホールディングス取締役を経て2000年に就職・転職情報サービスを手がけるソフトバンク・ヒューマンキャピタル(旧イーキャリア)社長。2006年11月からマイスペース社長を兼務。(2006.11.30/日本経済新聞)
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by fbitnews2006-6 | 2006-11-30 12:29 | インターネット総合  

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