「YouTube人気動画リンク集」は合法か


YouTubeの人気動画を紹介するリンク集が増えている。テレビ局などの著作権を侵害していると見られる映像のリンクも多いが、違法性はないのだろうか。
2006年10月27日 08時41分 更新

YouTubeの人気日本語映像には、テレビ番組などが多い YouTubeの人気動画のリンクを集め、ランキング化するサービスを、国内ネット企業などが続々と開設している。ブログの引用回数やユーザー投票などから人気の映像を見つけ出し、YouTubeのぼう大なコンテンツから面白い映像に簡単にたどり着ける仕組み。だがこういったサービスは果たして、合法なのだろうか。

 YouTubeの人気動画には、テレビ番組の映像の一部分を切り出したものなど、権利者に無断でアップロードしたとみられるコンテンツが多い。こういった動画にリンクを張るサービスは法的に問題ないのか――ネット関連の著作権法に詳しい、小倉秀夫弁護士と、法政大学社会学部の白田秀彰助教授に聞いた。

違法コンテンツへのリンクは違法?
 小倉弁護士によると、YouTubeのようなサービスとそのリンクに関する著作権問題は、(1)「送信可能化権」と(2)「自動公衆送信権」―― の2つに分けて考える必要がある。送信可能化権は「実際にコンテンツを送信する権利」で、自動公衆送信権は「公衆の求めに応じてコンテンツを自動的に送信可能な状態を作出する権利」だ。

 YouTubeで言えば、映像ファイルをYouTube上に置いた時点で「送信可能化」行為は終了する。そのため、例えば、テレビ局が権利を持つ映像ファイルを無許諾でYouTube上に置いた第三者は、テレビ局の送信可能化権を侵害した、といえるだろう。

 その後、ユーザーの求めに応じてYouTubeから動画が送信されることにより、自動公衆送信が行われる。YouTube上の動画にリンクを張り、その動画に対するアクセスを増やす行為は「自動公衆送信のほう助」に当たるようだ。小倉弁護士は「リンクが張られることにより公衆からの送信要求が実際に増加したのであれば、客観面からいえば、リンクを張られることにより、自動公衆送信がほう助されたということになります」と説明する。

 つまり、YouTubeの違法動画にリンクを張り、結果的にその動画へのアクセスが実際に増えた場合は「自動公衆送信権侵害のほう助」にあたり、故意などの主観的な要件が具備されるならば、違法と考えられる、という見解だ。
合法に「リンク集」を運営するには
 どうしてもYouTubeの人気動画リンク集を運営したい場合は、著作権侵害映像が入り込まないよう配慮する必要があるだろう。小倉弁護士は「ロボットで拾ってきてしまうのは仕方がないが、著作権侵害っぽいコンテンツにリンクを張ってしまっているのをスタッフが見かけたら、リンクを削除するようにスタッフに徹底しておいた方がよいと思う」とアドバイスする。

 著作権侵害コンテンツのリンクを紹介するサービスを運営している事業者側が負う法的リスクとしては、(1)著作権法違反のほう助犯として刑事罰(懲役および罰金)に科せられる場合がある、(2)不法行為(著作権侵害)のほう助者として共同不法行為責任(連帯責任)を負わされるおそれがある――が考えられる。

「違法」と斬り捨てるだけでいいのか?
 今の日本の著作権法を適用すれば、YouTube上の人気コンテンツの多くは違法で、それに対するリンクも違法となる可能性が高い。白田助教授は「法律家としては『アップロードされているコンテンツが著作権者の許可あるものかどうか判断できないならば、YouTubeを利用するべきではない。 YouTube上のコンテンツの存在は、ごく親しい友人以外には知らせるべきでない』と言うほかない」と語る。

 その一方で「法律の解釈から導かれるこの結論は、GoogleやYouTubeの時代にふさわしいものではないと考える。新しい流通手段の可能性を封じることばかりに躍起になっていては、日本のコンテンツ産業がアメリカの先進サービスに支配されるような構造に陥ると危ぐする」(白田助教授)とも指摘する。

 YouTubeにテレビ映像が載り、多くの人に見られるということが、これまでありえなかった新しい可能性を拓いていることは確かだ。忙しくてテレビをリアルタイムで見られない人もYouTubeなら見られるし(関連記事参照)、ネットは放送波の届く範囲を超え、海外からでも見てもらえる(関連記事参照)。

 日本好きな外国人が日本のテレビ番組を見てさらに日本を好きになる、ということも実際にあり(関連記事参照)、例えばレイザーラモンHGは、YouTubeの映像が米国で人気となり、米国人のファンが増えているという。

 「技術革新などで社会が新しい段階に移行する時、現実と法律の整合性が破たんする状況がしばしば見られる。しかし、その破たんがなければ、現実に調和した法律を作り出すことはできない」――白田助教授はこう指摘する。

 家庭用ビデオデッキがその例だ。米国の映画業界は、ソニーがビデオデッキを市場投入した際、「テレビ放送された映画を、視聴者がビデオで勝手にコピーすれば、映画産業が損失を受ける」として長期の訴訟で攻撃した。

 だが、映画業界はその後、ビデオのレンタルビジネスによって広大な"家庭内市場"を獲得。テレビとの競争で衰退しつつあった映画ビジネスをビデオが救った――という見方もできる。

 「YouTubeが家庭用ビデオデッキと同じポジションにいるならば、法律や政府がよってたかってつぶしにかかるというのが、長期的に見てどうなのかな、と思う部分もある」(白田助教授)

 小倉弁護士は、日本のテレビ局の対応について悲観的だ。「録画ネット裁判やまねきTV裁判から明らかなように、日本のテレビ局は、放送波が届く範囲を超えて番組が見られるということをとても嫌がる。「選撮見録事件」(※)で民放各社は、番組をタイムシフト視聴されることすら許せないとしている」

 「テレビ局は、番組がいつどこで見られるのかをコントロールしたがっている。YouTubeに番組がアップロードされることが、客観的に見てテレビ局の利益になるとしても、悲しいかな、日本のテレビ局は聞く耳を持たないだろう」(2006.10.27/IT Media)
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by fbitnews2006-6 | 2006-10-27 13:02 | インターネット総合  

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