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Linuxが今すぐWindowsを駆逐することはない――ガートナー予測

Linuxは確かに発展してきているが、今後5年間のうちにWindowsを駆逐するような状況にはならないだろうとガートナーのアナリストは予測する。

 向こう5年間は、Linuxオペレーティングシステムの台頭によって、Microsoft Windowsのサーバ事業が回復不能なダメージを受けるようなことは起こらない――Gartnerのアナリスト、ジョージ・ワイス氏は9月28日、現地で開催された「Gartner Open Source Summit」に集った聴衆の前でこう語った。

 同氏は「エンタープライズLinux:機は熟したか?」と題した講演の中で、Linuxの成長は確かに著しいが、2011年までの全世界のサーバOS売り上げ予測においては、LinuxはWindowsおよびUNIXを超えられないと見られていると述べた。

 Linuxは、2006年の世界サーバOS売り上げ全体の83億ドルを占めると予測されているが、今後の予想売り上げ額はこれをはるかに上回り、5年の間におよそ120億ドルに達すると考えられている。一方、UNIXの世界サーバOS売り上げは2011年までに159億ドルにおよび、Windowsは同じく225億ドル相当にまで成長して首位を守るだろうと、ワイス氏は分析している。

 しかしワイス氏は、Sun Microsystemsの「OpenSolaris」がLinuxの代替として注目されつつあることから、UNIXの新規導入件数は2011年までに減少するとも述べている。

 「とはいえ、Solarisのオープンソース化という戦略の効果も、いずれ頭打ちになる。多くのユーザーがSPARC/Solarisから他のプラットフォームへ移行しており、再びOpenSolarisへ戻るよう彼らを説得するのは難しいからだ」(ワイス氏)

 セキュリティも、WindowsとLinuxおよびUNIXを差別化する大きな要因にはならないという。ワイス氏は、Red Hatは驚くべき勢いで発展してきた企業だが、2011年までに同社が「Linux界のMicrosoft」になる可能性は薄いと指摘した。

 Linuxは成熟の過程のただ中にあり、今ではLinuxカーネルに対する貢献の9割がLinuxベンダーおよびディストリビューターによるものになっている。こうした状態が、LinuxをUNIXに比肩できるレベルにまで成熟させるのにきわめて有効に働いていると、ワイス氏は言う。

 さらに、データセンター内でLinuxシステムを構築する際には、「Xen」仮想化技術が欠かせない要素となりつつあり、同分野が市場競争の今後の焦点になると思われる。

 Xenには、価格が低い、システムベンダーがサポートしている、セキュリティの実装が容易であるなど、数多くのメリットがある。反対に、広範な市場では実績が不十分であること、管理ツールが不足していること、独立系ソフトウェアベンダーの価格およびライセンス体系が仮想化に完全対応していないこと、VMwareの「ESX Server」という強力かつ成熟したライバルが居座り続けていることなどがXenの弱みだと言えると、ワイス氏は述べている(関連記事)。

 また、Microsoftもこうしたトレンドを甘んじて受け入れるのを拒否し、「Viridian」と呼ばれる独自のハイパーバイザー技術を開発している。同社は、Xenベースシステムのサポートも提供しない方針だ。

 「VMwareがXenの躍進を警戒して価格体系を見直し、機能強化のペースを速める可能性もあり、Xenにとってはこれが大きな脅威となっている」(ワイス氏)

 Linuxディストリビューション事業に関しては、米国をはじめとする各国市場シェアの大部分をRed Hatが握り、優位を確保しているものの、Novellの「SUSE Linux」がIBMとの友好関係を活用して徐々に追い上げてきていると、ワイス氏は話した。

 さらにはMicrosoftも、「Shared Source」プログラムを通してコードを公開し、自社製品とオープンソース製品間の互換性を高める作業に取り組んでいる。

 「つまり、Red Hatを取り巻く市場競争は激化しており、これからも激しくなる一方だということである」(ワイス氏)

 プレッシャーがかかっているのは、Microsoftも同じだ。Microsoftが今日の地位を築いたビジネスのやり方はすでに通用しなくなりつつあり、「より賢く、より速く、市場のあらゆる部分に注意深く気を配りながら、自社製品の互換性を強化していく必要に迫られている」(ワイス氏)。

 ワイス氏によれば、「Apache」や「Sendmail」「JBoss」など、Windowsプラットフォーム上で動作するオープンソースアプリケーションは、これからもますます増えるという。

 OracleがRed Hatやその他のLinuxディストリビューション企業を買収する可能性はあるかと尋ねたところ、ワイス氏は否定しなかったが、Red Hat Linuxをベースとして独自Linuxを開発することも可能である点を考えると、Oracleがそうした選択をするとは考えにくいと話した。もっとも、Oracleが独自にLinuxを提供すれば、市場の細分化が進むおそれがあると、同氏は付け加えている。

 ワイス氏は、次のような結論を出した。第一に、UNIXの命運はまだ尽きていないが、新しく採用されるケースは減り続ける。第二に、Xenの普及は、システムベンダーやサードパーティソフトウェア企業が提供する管理ツールおよび自動化ツールの進歩にかかっている。第三に、人々の関心は各種のLinuxから、互換性やマネジメント問題、オープンソースへと移っていく。

 また、Microsoftがオープンソース界に対する基本的なビジネスおよびサポート戦略を積極的に変更することはなく、現在の優位を保ちたいRed Hatは、多様なビジネスモデルを模索しているみずからのパートナー企業を競争相手としていかねばならないだろうと、ワイス氏は予想した。

 Novellにも成功のチャンスはあるが、そのためには12カ月以内に新たな戦略を打ち出し、実行する必要があるという。

 「一般的なLinuxおよびUNIXとWindowsを併用している企業などでは、どちらかを選択することになった場合、全体的なソリューションコストや管理ツール、スキルや再利用性といった現実的なポイントが評価基準となっている」(ワイス氏)(2006.10.2/IT Media)

by fbitnews2006-6 | 2006-10-02 12:30 | PC  

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