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<ソニー>PC用電池の自主回収…「復活」足元から揺らぐ



 相次ぐ発火事故で、全世界でパソコン(PC)用のリチウムイオン電池の自主回収を決めたソニー。電池に限らず主力の電機、ゲーム部門でトラブルや不手際が相次ぎ、製造現場の問題が浮き彫りとなっている。昨年7月に発足したストリンガー会長・中鉢良治社長の新体制は、電機部門の再建を最大の経営目標に掲げて、ものづくりの原点回帰を図っているが、復活のシナリオは足元から大きく揺らいでいる。【遠藤和行、斉藤望】
 ソニーが回収を決めた電池は、すでに回収・無償交換に乗り出している米デルとアップルコンピュータのPCに搭載されていた電池と同時期に製造された同型のもので、いずれも製造過程で微細な金属粉が混入していた。電池に詳しい神奈川大の佐藤祐一工学部長は「不純物の混入は電池がショート・発火する大きな要因の一つ。混入をゼロにするために洗浄や検査を繰り返すのが普通で、あってはならない」と話す。
 東芝が今月19日に発表したソニー製電池の無償交換も、原因は他メーカーが納入する材料の絶縁紙の素材が、ソニーの知らない間に変わり、酸性物質が混ざっていたという初歩的なものだった。ソニー幹部は「もらい事故」と話すが、業界関係者は「材料の品質管理はメーカーの基本のはずだ」と首をかしげる。
 ストリンガー会長が「ソニー復活の戦略商品」と位置づける次世代家庭用ゲーム機、プレイステーション3でも、戦略のちぐはぐさが目立っている。部品不足のため欧州で発売延期となり、日米でも初期出荷台数が大幅に減少する不手際を起こした。さらに、ライバル機の攻勢で、国内販売価格を発売前に値下げ修正せざるをえなくなった。
 電池が中心となる電子部品部門は、05年度は売上高8273億円、営業利益319億円を計上した。ただ、電池の回収費用は最大500億円以上とも見込まれる。「電機の復活なくしてソニーの復活なし」として経営再建に取り組む中鉢社長は、07年度の電機部門の営業利益率4%(05年度実績マイナス0.6%)を経営目標に掲げている。その途中となる今年度は営業利益率2%、営業利益1000億円程度を見込んでいたが、実現は極めて困難となった。
 ソニー製電池の不具合と、ノート型PCの過熱・発火事故の因果関係は、現在も特定されていない。ソニーは「金属粉混入という電池側の問題と、充電方法などPC本体側の問題が重なり合った複合要因によるもの」(広報センター)と説明しているが、米デルのフォレスト・ノロッド副社長は「他社製の電池では問題は起きてない。PC本体側に問題はない」と真っ向から反論する。主張は大きく食い違っている。
 ソニーの説明では、発火事故は特定の社(デル、アップル)のPCと電池の相性によって起きたもので、他社のPCで同様の事故が起きないはずだった。しかし、聯想(レノボ)製PCでも事故が起きたことで、ソニーの今までの説明は説得力を失った格好だ。
 東芝は29日、同社製のノート型パソコンに搭載しているソニー製リチウムイオン電池の回収・無償交換に乗り出すと発表した。ソニーが28日、全世界での自社製電池の回収を決めたことに伴う措置。回収対象は国内外に出荷した東芝社製ノート型PCに搭載していたソニー製電池83万個。国内では「ダイナブック」や「コスミオ」シリーズなど8機種が該当する。
 富士通も2機種に搭載していたソニー製電池の回収を決めた。回収個数は非公表。東芝、富士通とも具体的な回収計画は、ソニーと協議して今後決める。
 またデルは29日、回収対象のソニー製電池が10万個増え、合計420万個になったと発表した。
(2006.9.29/毎日新聞)

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