「はい! こちらナントカ警備隊っ」がやりたかった男たち



 “ヒーローもの”漬けで育った野郎の目に飛び込んできた「スーパーワンセグTV Watch」はその瞬間、数々の妄想を沸き立てさせるものだった。

 アサヒビールは2006年9月13日から、W-SIMスロットとワンセグチューナーを搭載する腕時計型PHS「スーパーワンセグTV Watch」などを景品として用意するビール類キャンペーン「2006 うまい!旬感プレゼント!」を開始する(すでに応募シールが貼られた商品は出荷されている)。

 アサヒビールのキャンペーンといえば、テレビ+冷蔵庫+DVDを合体させた「DVDテレ蔵庫」やジョッキに注いでくれる装置付きロボット冷蔵庫「本生ロボッ庫」など、“うゎ、ありえねー”と思いつつも興味を惹かれてしまう景品を用意することで知られている。今回も告知だけでヤられてしまった自分がいる。

 このノリは大好きだ。スーパーワンセグTV Watchを装着するとどんな気持ちになるか、そもそもこのキャンペーンはどんなものなのか。アサヒビール酒類本部営業部 商品グループプロデューサー 丸山剛司氏に話を聞いた。

●「やるなら今しかない」

ITmedia この「2006 うまい!旬感プレゼント!」はどのようなキャンペーンなのか、改めて教えてください。

丸山氏 2006年9月13日から11月30日まで約2カ月半、いわゆるビール類全般(ビール、発泡酒、新ジャンル、ビールテイスト飲料)の消費者キャンペーンです。商品には応募用シールが貼られ、それを集めると抽選で景品が当たりますというものとなります。

 今回は、いわゆる「ビール類すべて」対象のものとして弊社では初のキャンペーンとなります。今までは例えば「スーパードライの~」「本生の~」など単体の商品に対するものでしたが、「ビールを飲むが、発泡酒も飲む」というように併飲するお客様も多くなっています。それならば単体だけというより、ビール類でくくられていたほうが幅広い人を対象に応募していただけると思いから「ビール類すべて」としました。

 幅が広いということは、応募者全員がもらってうれしいもの(1万5000円相当の厳選食材、スーパードライ350ミリリットル缶6本)を用意するのは当然として、より“とんがった”目玉も必要です。それが「スーパーワンセグTV Watch」です。

 (出たっ。これこれ)

ITmedia 最近は「冷蔵庫」シリーズが続いていましたが、今回はなぜ「ワンセグ腕時計」になったのでしょうか。

丸山氏 ワンセグ機能を搭載する携帯電話も増えてきましたし、ちょうど盛り上がり始めたところです。しかし来年やってもたぶんそれは当たり前になってしまっていると思うのです。ちょうど旬ということで、「やるなら今しかない」と。

ITmedia 確かに、番号ポータビリティを機に、年末から来年初頭にかけて携帯キャリアもワンセグ機能搭載の端末を多く投入すると言われています。そのほか携帯ゲーム機などでもワンセグ視聴に対応した機器が多く発売されるようです。

丸山氏 でも、ただ「ワンセグコンパクトテレビ」とするのも面白くない。「アサヒビールがまた何か面白いことをやり始めたな」と思ってもらえるほどではありませんよね。小さいなら腕にも付けられる……思い浮かんだのは、あの「ナントカ警備隊」でした。

●どうしても「ナントカ警備隊」がやりたかった

 「腕時計型のワンセグTV。そして腕時計スタイルで通話/通信もできるように」。コンセプトは企画当初からはっきりしていた。

 開発はNECシステムテクノロジー。通信機能はW-SIMが担う。アンテナなども含めた通信のための機能がモジュール化されているW-SIMは開発側にとっても大変都合がよかった。W-SIMなしでもワンセグ放送の視聴が行え、ウィルコムと通信契約を行い、W-SIMを差すことで通話/通信の機能も追加できる仕組みだ。

 実は、既存のワンセグケータイにロゴを入れただけのようなものにする案も出た。しかしそれではオリジナリティや新しさがない(かつて行われたサントリーの「ボス電」などが有名)うえ、特定のキャリアと必ず契約しなければならないことがユーザーの不利益となることもある。なによりはっきりとしたコンセプトを当初より打ち出していたことで、それは崩れることはなかった。丸山氏はなんとしてでも腕に付けて「ナントカ警備隊」をやりたかったのである。

 本体サイズは約91.5(幅)×58.0(高さ)×22.3(奥行き)ミリ、重量約120グラムとなる。ウィルコム端末で例えると、約100(幅)×50.5(高さ)×24(奥行き)ミリ、重量約123グラムの京ぽん2こと「WX310K」くらいの端末を横向きにして腕に付けるというイメージとなるだろうか。

 端末を開くと、320×240ピクセル表示対応の2.4インチ液晶、液晶の右側にスピーカー、ダイヤルキーと十字キーなどが現れる。ここにワンセグ機能起動用のボタンも独立して搭載される。ヒンジの右側にロッド式のTV受信アンテナが内蔵され、ワンセグ視聴時はこれを引き延ばして使用する。前面のダイヤルキーと十字キーにより、ワンセグ放送のチャンネル切り替えやボリューム調整が行えるようになっている。

 このアンテナは(W-SIM内に通信用アンテナが内蔵されているため)音声通話にまったく関わりはないわけだが、「通話するときは“シャキッ”とアンテナも伸ばす。これがデフォルトのスタイルなのです(笑)」(丸山氏)と使用スタイルまで“指定”している。ちなみに、着信時は開いてから「発話」ボタンを押し、耳に付けずに端末を離したままテレビ電話のようなスタイルで使用できる。液晶のオープンと連動してオンフック状態とする機能はないようだ。

●もちろん“それっぽい”の要素も忘れない

 120グラムという重量について「既存のワンセグケータイより、少しでも軽くしたかったんです」(丸山氏)という思いがあった。ワンセグのための画面サイズや操作性などを損ねず、かつ腕に装着できるぎりぎりの重量だった。

 (実際に装着してみると少々、いや多少、いやいやかなり重いんですけど)

 「腕に付けると確かに大きくて重いんですけども、キャンペーンの景品ですので。これを売り出すとなるとちょっと違うのでしょうが、なにせ“ナントカ警備隊”なのですから(笑)。当たった人もどうかお許しくださいね」(丸山氏)

 (……顔に出てしまったようだ)

 なお、このサイズの実現に最も苦労した点がバッテリーだった。ワンセグケータイなみの視聴時間は少なくとも確保したい。小さいにこしたことはないが、容量が少ないと視聴時間も短くなってしまう。専用のものを作るとなるとどれだけ製造コストが上がるか、考えただけでも怖い。ここは、携帯の製造では一日の長があるNEC(テクノロジー)を製造先に選んだメリットが生きた。既存の携帯向けバッテリーで、極力小さいがパワーがあるものが見つかった。ワンセグ放送は連続で約2時間視聴できる。

 背面には、時刻と年月日、曜日を1色赤文字で表示する液晶が備わる。「なにせ“腕時計”ですからね」(丸山氏)というように、前面/背面含めて表示パターンをカスタマイズするような機能は備えていない。

 前面の2.4インチ液晶には上部にバッテリー残量と時刻が表示される。

 「よ~く見てください。このアイコンを」(丸山氏)

 ……電池残量アイコンがビールのジョッキだ。芸が細かい。

 「これ以外にも待受画像や着信音でも遊ぼうと思っています」

 着信音には、無難なもの、アサヒスーパードライのテーマ、そして「“それっぽい”もの(笑)」(丸山氏)を用意する予定とのことだ。“それっぽいもの”をあれこれ妄想している私ら二人に、同席していた同社広報Sさんの冷たい視線が刺さっていた。

 スーパーワンセグTV Watchはキャンペーン終了後、2007年1月頃に当選者へ届けられる予定となっている。2006年9月現在は「ハードウェア仕様が決まり、生産体制に入るところ」(丸山氏)だという。

 これを読んでいる読者は当然「スーパーワンセグTV Watch」狙いだと思うが、外れてしまったユーザーにも抽選で10万名に、製造後3日以内のアサヒスーパードライをクール便で届けるというコースを用意している。

 「“誰もそんなこと思いつかないだろう”みたいなことをやることにより、アサヒビール自体の躍動感とか、常に新しいことをチャレンジしているな、ということを伝えたい」と丸山氏。最後の締めとしては少々優等生っぽい気もするが、なにより多くの人を“グッ”と来させたこの景品が当たった人は、確実に半年は自慢できるだろう(もし当たった読者の方がいましたら、編集部まで自慢しに来てください)。今後行われる同社のキャンペーンも、どのような“グッ”と来るものを用意してくるか、大いに注目したいところである。
 


(2006.9.14/+D Mobile)
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by fbitnews2006-6 | 2006-09-14 16:02 | 周辺機器  

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