いよいよ登場したHD DVDレコーダー、東芝「RD-A1」




まさにハイエンドの風格を持つ「RD-A1」。外形寸法は、457(幅)×159(高さ)×408(奥行き)ミリ。重量は15.2キロ 写真:ITmedia
 
 東芝は6月22日、初のHD DVDレコーダー「RD-A1」を発表した。世界初のHD DVDプレーヤーとなった「HD-XA1」は、新メディア対応機としては低価格な10万円からのスタートだったが、RD-A1は39万8000円とハイエンドの価格帯。発売は7月14日を予定している。



 現在のDVD・HDDハイブリッドレコーダーの相場からすると、絶対的な金額は高価である。しかし中身を見ると、その価格でさえ安いと思わせるハイエンドAV機器並みのハードウェアコンポーネントと贅沢な筐体構成を採用している。

●RD-T1+HD DVDレコーディング

 まずは簡単に機能面からRD-A1を見ていこう。

 ハイブリッドレコーダーとしての基礎部分は、ほぼ「RD-T1」に準拠しているようだ。RD-T1は、RDシリーズ最上位のRD-X6と共通のプラットフォームながら、500GバイトHDDを2台搭載することで、地上デジタルハイビジョン録画で約130時間の記録を可能にした1TバイトHDDモデルである。

 チューナー構成は、デジタル3波にゴーストリダクション機能付きアナログチューナー2系統を加えた「デジ×アナ」「アナ×アナ」のW録機能で、スカパー!連携機能ももちろん搭載。リモコンデザインも一部キー配置を除いて同一で、インターネットサービスと連携したナビゲーション機能や細かい編集機能を含め、使用感覚はRD-X6/T1そのものだ。

 ハイビジョン記録を中心に据えた機種と考えると、「デジ×デジ」のW録を搭載する最新のRD-XD92Dベースではない点はやや残念だが、コピーワンスを考えずに自由にSD画質のディスクアーカイブをしたい向きには、こちらの方が便利という考え方もあるだろう。

 このRDのプラットフォームに、「HD-XA1」で培ったHD DVDプレーヤー機能が加わり、さらに記録型HD DVDドライブ搭載でハイビジョン番組のムーブができる。HD DVD記録メディアへの直接録画ももちろん可能だ。なお、この記録ドライブはNECが開発したもので、HD DVD-Rの1層15Gバイトおよび2層30Gバイトに対応するほか、DVD-RAM/-RW/-Rの記録再生が可能となっている(CDに関しては音楽CD、R、RWの再生をサポート)。

 ハイビジョン番組から記録型HD DVDメディアへのムーブは、基本的にHDVRフォーマット(HD DVDにおけるDVD-VRに相当するフォーマット)での転送となり、その際はMPEG2-TSのままで転送される。MPEG2-PSへの変換を行いHD DVD-Videoフォーマットのディスクを作成する、といった機能は今回は搭載されていない。

 こうした仕様のため、従来のRDシリーズにおいてHDD上で可能だったMPEG2-TSに対するフレーム単位の編集結果がHD DVD-R上でも再現される。基本的にはハードディスク上にあるMPEG2-TSのファイルイメージが、そのままHD DVD-Rに移動するだけと考えるとわかりやすい。

 一方、HD DVD再生機能はHD-XA1とほぼ同じだ。新音声フォーマットのDolby Digital Plusは、HDMI出力あるいはアナログ5.1チャンネル出力が可能なほか、デジタル音声端子にDTS5.1チャンネル音声として再エンコードしながらの出力もできる。

 ただしロスレス圧縮オーディオのDolby True HD音声に関してアナログ2チャンネルでの出力しかサポートせず、同じくロスレス圧縮オーディオフォーマットのDTS-HD Master Audioも、DTSコア(フルレートのDTS 5.1音声)のみの出力となるなどの制限もHD-XA1から引き継いでいる。

 これら新オーディオフォーマットのサポートに関しては、HD-XA1も最初のファームウェアアップデートでDTS再エンコードの音質改善が図られたが、Dolby True HDに関しても5.1チャンネル音声のHDMIリニアPCM音声での出力、あるいはアナログ音声としての出力をサポートすべく、ファームウェアアップデートを計画しているようだ。関係者によると、すでにテスト用のファームウェアは東芝社内で動作しているという。

 このようにHD DVD再生機能に関して、HD-XA1と同等の機能となっているRD-A1だが、しかしその出力画像、音声の品質は、一歩も二歩も抜けだし、レコーダーとしては異例とも言える高品質に達している。

 映像出力系は、放送・録画再生系の映像ストリーム、HD DVD/DVD再生の映像ストリームともに専用回路を抜けた後、パイオニアの映像処理チップ「VQE9」に渡される。ここでSD映像のI/P処理などを行った後、アンカーベイ・テクノロジー製のビデオプロセッサに引き渡され、そこでハイビジョン映像のI/P処理や出力映像フォーマットへの拡大・縮小処理が行われる仕組みだ。いずれもハイエンドのプレーヤーや単体ビデオプロセッサでも採用されているチップである。

 このためHD DVDの出力が(内部で2-3プルダウン処理を行うことで)1080Pに対応するほか、DVD映像も1080Pへのアップコンバートを行える。加えてスケーリング処理プロセッサが変更されたことで、HD-XA1よりも数段、精細感のある緻密なDVD再生映像を得られるようになった。

 一方、音一方、音声出力もすべての音声ストリームを24ビット高精度サンプリングレートコンバータを通して24ビット192kHzに変換してからDAC処理しているという。アナログ音声は専用DACボードを通じてアナログ化される。可聴帯域から離れた場所にデジタルノイズフィルタを入れられるため、音質面で有利だろう。

 もっとも、こうした映像クオリティ、音声クオリティは、デバイスだけで達成されるものではない。HD DVDレコーダーとしてハイエンドにふさわしいコストをかけた1号機ならではの“作り”が、RD-A1の本質的な魅力となる。

●驚くほどのハイエンド構成のその次は?

 “見た目で驚きますよ”とは、RD-A1発表直前の東芝関係者の話だったが、確かにRD-A1は筐体デザインからしてハイエンドを目指した製品だ。一般的な、さほど画質や音質にこだわらないユーザーには、単にアルミパネルで飾り付けたレコーダーにしか見えないだろうが、その中身は実にまじめに品質を追求している。

 筐体のフレームは剛性の高いスチール製でできており、また内部を上下2段に分離して、さらに強度を追求している。複雑な2段構成のフレームの四隅に、アルミダイキャスト製の支柱(見た目には太い1本柱に見えるが、実際の支柱は1/4にカットした形状をしている)を配置。上部のキャップとスパイク風のインシュレーターはアルミ削りだしだ。

 また前面パネルにアルミ材を用いてるほか、上面にもアルミパネルを全面的に敷き詰め、左右はアルミ押し出し材で固めている。組み立てに使われているビスはオールステンレス。背面パネルのコンポーネント出力がRCAではなくBNC端子になっていることからも、東芝の気合いが見え隠れする。

 実際に手にすると、その剛性感の高さに驚くが、これが音質、画質に与えている良い影響は少なくないだろう。もちろん大容量の電源、オーディオグレードの高品質パーツの採用といった定番の高画質・高音質対策も施されている。

 簡単に試聴した限りでは、かなり腰の入った低音を聞かせる、パワフルなキャラクターの音を出していた。映像に関してもアナログ、デジタル出力ともにS/N感が良好。先鋭度も十分に高いが、無理にシャープネスを高めてはおらず、オーバーシュートを目立たせないほどよい自然さが残されている。今後、製品発売までに追い込みが続けられるようだが、現時点でも同カテゴリではトップと言える品質にまで高められている。

 こうした品質面での設計、チューニングの指揮は、かつてのハイエンドDVDプレーヤー「SD-9200/SD9500」や、最近の「RD-Z1」を担当した東芝AV設計第4部の桑原光孝氏が今回も行っているという。製品版の仕上がりが期待されるところだ。

 ちなみにi.Linkによる他製品との接続だが、互換性に関してはRD-Z1とほぼ同じになるという。Z1でサポートされているD-VHSあるいは「Rec-Pot」へのムーブが可能なほか、MPEG2-TSストリームを受けて、本機の映像回路で再生させることもできる。ただし、他機器からRD-A1へのムーブは不可能。

 マニアックな視点で見れば、RD-A1の映像回路を拝借して既存のD-VHS資産や他レコーダーの映像・音声を高品質に楽しむという目的でも利用価値が高い。

 とはいえ、もう少し手軽に利用できる、ハイエンドではない映像・音声出力のHD DVDレコーダーを求める声もあるはずだ。こちらに関しては「いくつかのHD DVDドライブ採用モデルを開発中」としており、今後、年末に向けて登場してくる可能性がある。

●メディアの価格戦略が鍵

 個人的にはHD DVDへの記録を行わなかったとしても「最新RD+HD DVDプレーヤー+高音質・高画質回路」の部分だけで十分評価できる内容と受け止めたが、現実には消費者はシビアな目で見るだろう。HD DVD Rメディアについては、7月から三菱化学メディアや日立マクセルが発売する予定であり、1層2000円、2層で4000円という予想価格が出されている。記録時間あたりで比較すると、Blu-ray Discよりもやや高くなる計算だ。

 HD DVDがレコーダー用メディアとして成功するには、この価格をどれだけ早いタイミングで下げられるかにかかっている。第2世代のBDレコーダーは、今年11月以降の発売になると予想されているが、先行するそれまでの期間にメディア価格が下がってくるかどうか。10~11月の段階で、2層ディスクが2000円以下にまで下がってこなければ、成功のチャンスは限られてくる。

 そのためには、RD-A1に続いて低価格のHD DVDレコーダーが順次提供される必要があるだろう。HD DVD-RWの規格策定終了タイミングに投入されるであろう2号機以降の戦略も含め、いかに市場で先行できるかが注目点となる。



(2006.6.23/+D LifeStyle)
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by fbitnews2006-6 | 2006-06-23 10:18 | 周辺機器  

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