団塊世代が創り出す“サードウェーブ”



1947(昭和22)~1949(同24)年に到来したベビーブームは、現在注目を浴びている「団塊の世代」を生み出した。2000年に行われた国勢調査によると「団塊の世代」の人口は約700万人にも及び、全人口の5.4%を占めるという。

彼らは今までに2つの大きな時代の波を創り出している。ファーストウェーブは1960年代半ば、平凡パンチ、ビートルズ、フォークソング、グループサウンズ、全共闘運動などに代表される若者文化。セカンドウェーブは1980年代前半、ニューファミリーと呼ばれる消費思考の強い文化だ。彼らは高度経済成長が求めた“豊かさ”を、目に見える形でリードした。

この2つの大きな時代の波を創ってきた約700万人という団塊の世代が、2007年から定年を迎え始める。「定年」という響きから、暗いイメージをもつ人が多いかもしれないが、彼らの多くは定年後の生活を楽しみにしている。自由になる時間とお金をもち、日本の高度成長期をエネルギッシュに生きてきた彼らが、新たな時代の波“サードウェーブ”を創りだす事は容易に想像できる。そして、彼らがこの3つ目の波を上手に乗りこなすためには、インターネットが必要不可欠になってくるのではないだろうか。

総務省が発表した2004年末のインターネット利用率は、50~59歳では65.8%、60~64歳では49.0%、65歳以上は17.5%となっている。それぞれ前年から3.2ポイント、10.0ポイント、2.6ポイント伸びており、特に60~64歳の伸びが大きいと発表している。また、野村総合研究所の調査によると、約70%のサラリーマンがインターネットを利用してるという結果がでている。つまり、この2007年に定年を迎え始める団塊世代、特に男性は、仕事を通じてパソコンでのメールやインターネットの知識はすでに取得済みであると考えられ、彼らは定年後インターネットをどう活用するかということに意識を傾けていると言える。

このような傾向は日本だけに言えることではない。例えば中国の検索サイト「大洋網」の調査結果によると、上海に住む60歳以上の人たちのなかで73%もの人が「インターネットを利用したい」と考えているという。また、本拠地をワシントンに構えるオールピューインターネットプロジェクトが行った高齢者のインターネット利用調査結果によると、インターネットを利用するアメリカ人シニアの割合は、2000年から2004年に47%増加し、2004年2月の調査では65歳以上の22%(2000年は15%)が、インターネットへアクセスしたいと考えているという。

このようにシニア世代のインターネットの利用意欲の拡大には目を見張るものがある。しかも、日本について言うならば、その拡大はゼロからではなく、ある程度のインターネットの知識を蓄えたシニアが進めていくのだから、スピードも速い。そのため、ネット上に進出してきたシニアたちを囲い込む為に、最近では企業がこぞってインターネットビジネスに進出している。

例えば、「Yahoo! JAPAN」で「シニア」というキーワードで検索してみると広告スペースには、セブン-イレブン・ジャパン、大阪ガス、ベネッセコーポレーション、三菱 UFJ 証券など、そうそうたる企業の広告が並ぶ。オーバーチュアの入札価格チェックツールを使ってみると「シニア」というキーワードは、1位280円(2006年6月9日現在)という高額入札となっている。

ヤフーは2006年4月、団塊世代向けのポータルサイト「Yahoo! セカンドライフ」を開設した。「政治経済」や「くらし」、「お金」、「旅」、「グルメ」、「おしゃれ」などのカテゴリ別に、それぞれの分野の達人や著名人、有名人などの記事を掲載している。この他にも、シニアマーケット専門のコンサルティング会社・シニアコミュニケーションと飲食店のインターネット検索サービスなどを運営するぐるなびが提携して誕生した「ぐるなびシニア」や、シニア向けショッピングサイト「楽天シニア市場」なども登場している。

これらのサイトは、シニア世代にも読みやすいように文字の大きさを選択できるようにしたり、「困った時の解決法」というタグを目立つ場所に配置するなど、ユーザーが困ったとき、「いったい何処を見ればいいんだろう・・・」と迷うことがないように配慮がされている。

なお、50代向けのコミュニティサイト「パワーウィングス・ネット」を運営するパワーウィングスが、今年2月に実施した「シニアの IT リテラシーの現状をさぐる」というアンケートの中で、パソコンの利用経験がある人も、まだその知識に乏しい人も、最も困っていることの1つとして「ホームページの作成」を挙げている。これからのシニア世代は今まで生きてきた知恵と知識と経験を使って、情報を発信し、新たに何かを始めたいと考えているのではないかということがこの結果から見えてくる。

現在でもすでにブログや SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)など無料で情報発信ができる手段は数え切れない。しかし実際に1からブログを立ち上げたり、コミュニティサイトを作るのは時間も手間もかかる。そこで、最近では中高年の情報発信や、情報交換を支援するサイトが登場し始めた。

ニフティはコミュニティを軸に中高年層のインターネット利用支援を目指すブログサイト「語ろ具」を立ち上げた。他にも松下電器などが出資するシニアサイト「スローネット」、シニアコミュニケーションが運営する「STAGE」、TBS ラジオが主催・運営する「遊学舎」などが挙げられ、コミュニティの内容も充実していて、すでにシニア世代の情報共有スペースとして成長している。

しかも、これらの多くは会員制のサイトであるため、1度登録したユーザーを自社サイトに囲い込む事ができる。このように、団塊世代のウォンツを吸い上げ、ネットマーケッティングに取り込もうとするサイトはこれからもさらに増えていくだろう。インターネットと団塊世代、この2つの要素が交じり合い、どのような“サードウェーブ”を起こすのかこれからも注目していきたい。




(2006.6.15/japan.internet.com)
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by fbitnews2006-6 | 2006-06-15 12:17 | インターネット総合  

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